自己資金と融資と助成金。人材派遣の会社設立で資金を集める順序
自己資金、融資、助成金。それぞれ性格が違い、許可の資産要件への効き方も違います。人材派遣の会社設立にかかる費用を賄う資金を…
人材派遣の会社設立にかかるお金を、登記の費用と許可申請の手数料・登録免許税に分けて積み上げます。許可が下りるまでの固定費、税金の考え方、助成金の当てにし方まで同じ表で見ます。
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この記事は、こういう方に向けて書いています
人材派遣で会社設立をしようと考えていて、全部でいくら用意すればよいのかを、項目ごとに分けて知りたい方に向けた記事です。「費用は数十万円」と書いてあるページもあれば「最低でも1,000万円以上」と書いてあるページもあり、どちらを信じればよいか分からない、という段階を想定しています。
先に答えを書くと、その二つは別のものを数えています。数十万円というのは登記と許可にかかる手数料や税金(法定費用)のことで、1,000万円を超える数字は、労働者派遣事業の許可の資産要件を満たすために会社に置いておくお金のことです。人材派遣の会社設立では、この二つを分けて考えないと資金計画が組めません。
金額は2026年10月18日時点で、厚生労働省・国税庁・日本公証人連合会などのページで確かめたものです。このページでは全体像を示し、ひとつずつの論点は見出しごとにリンクした記事で詳しく書いています。許可の可否は所管の都道府県労働局、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士、税額の判断は税理士にご確認ください。

「人材派遣会社 設立 費用」で調べると、相場として示される金額が記事によって大きく違います。数十万円とするものもあれば、1,000万円台とするもの、2,000万円以上とするものもあります。これはどれかが間違っているというより、数えている範囲が違うことがほとんどです。
人材派遣で会社設立をする場合のお金は、次の四つに分けると整理できます。一般の会社設立の費用の話は一つ目だけで終わりますが、人材派遣はそこに労働者派遣事業の許可が加わり、さらに許可の要件として資産を持っていることが求められます。

つまり「人材派遣の会社設立の費用の相場」は、法定費用だけなら数十万円、資産要件まで含めれば少なくとも2,000万円前後、という二つの答えを持っています。どちらの数字で資金計画を立てるべきかといえば、もちろん後者です。資産要件を満たさなければ許可は下りず、会社設立をしても人材派遣の営業は始められないからです。
出典労働者派遣事業を適正に実施するために -許可・更新等手続マニュアル- (厚生労働省/2026年10月18日確認)

一つ目の箱、会社設立の登記にかかる費用の内訳を見ていきます。ここは人材派遣に限らずどの会社設立でも同じ計算ですが、人材派遣の場合は資本金を大きくする前提で計算する点が違います。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款の認証手数料 | 資本金100万円未満3万円/100万円以上300万円未満4万円/その他5万円 | 不要 |
| 定款の印紙代 | 紙の定款なら4万円(電子定款ならかかりません) | 紙の定款なら4万円(電子定款ならかかりません) |
| 設立登記の登録免許税 | 資本金の1000分の7。15万円に満たないときは15万円 | 資本金の1000分の7。6万円に満たないときは6万円 |
定款の認証手数料は、発起人が全員自然人で3人以下などの条件を満たす資本金100万円未満の株式会社では1万5,000円です。印紙代4万円は国税庁の印紙税額の一覧表の第6号文書(定款)によります。
資本金2,000万円の場合、登録免許税は1000分の7で14万円です。株式会社では最低額15万円を下回るため15万円、合同会社では最低額6万円を上回るため14万円になります。株式会社はこれに定款の認証手数料5万円が加わり、紙の定款なら印紙代4万円も加わります。

差は数万円です。人材派遣の会社設立では、この差よりも、資本金の額と事業所の数のほうがはるかに大きく費用全体を動かします。会社形態は、登記の費用の安さだけで選ばず、取引先からの見え方や、許可の申請書類で求められる役員の範囲まで含めて決めてください。
出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年10月18日確認)

二つ目の箱が、労働者派遣事業の許可にかかる費用です。「人材派遣 免許 費用」と検索されることもありますが、制度上は免許ではなく許可です。許可の申請に必要な法定費用は二つあります。
登録免許税という名前は会社設立の登記にも出てきますが、許可の登録免許税はそれとは別にかかります。人材派遣の会社設立では、登記で一回、許可で一回、合計二回納めることになります。
このほか、申請書類の作成や提出を社会保険労務士に頼む場合は、その報酬が加わります。報酬は事務所ごとに決められていて、法定の相場はありません。複数の事務所で、どこまでを報酬に含むか(就業規則の作成や労働保険の手続きを含むか)をそろえて比べてください。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年10月18日確認)

「人材派遣 開業 費用」「開業資金」「人材派遣会社 立ち上げ 費用」で調べる方がいちばん気にしているのは、たぶんこの箱です。人材派遣の会社設立で用意する資金の大きさは、ほとんど許可の資産要件で決まります。
| 基準 | 内容 | 事業所1か所の場合 |
|---|---|---|
| 基準資産額 | 資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を引いた額が、2,000万円×事業所数以上 | 2,000万円以上 |
| 現金・預金 | 事業資金として自己名義の現金・預金が、1,500万円×事業所数以上 | 1,500万円以上 |
| 負債比率 | 基準資産額が負債の総額の7分の1以上 | 負債が多いと2,000万円では足りないことがあります |
三つはすべて同時に満たす必要があります。事業所を2か所にすると、基準資産額4,000万円・現金預金3,000万円です。
借入で現金を用意しても、負債も同じだけ増えるため基準資産額は増えません。会社設立の直後は決算書がまだないため、実際には資本金として入れたお金が資産要件の判定の中心になります。そのうえで、登記の費用や事業所の敷金を払えば、その分だけ資産は減ります。資本金をちょうど2,000万円にすると、開業の支出で要件を割り込むおそれがあるということです。
さらに、許可が下りるまでは人材派遣の売上が立ちません。申請は事業開始予定のおおむね2〜3か月前までに行う必要があり、その間も事業所の家賃や役員報酬は出ていきます。許可が下りたあとも、派遣スタッフの給与を先に払い、派遣料金をあとで受け取る形になりやすいため、資産要件とは別の運転資金を見込んでおく必要があります。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年10月18日確認)

「人材派遣 資格 費用」と調べると、何か国家資格を取らなければならないように見えますが、人材派遣の会社設立と許可の申請に、特定の国家資格は求められていません。求められるのは、派遣元責任者を選任し、その人が派遣元責任者講習を受講していることです。
派遣元責任者になれるのは、成年に達した後3年以上の雇用管理の経験を有する者などで、欠格事由に該当しないことが前提です。講習は、厚生労働省の告示に定められた講習機関が実施するもので、許可の申請の受理の日前3年以内に受講したものに限られます。
資格の費用そのものは、講習の受講料と、受講のための移動や時間の分です。会社設立の費用全体から見れば小さな項目ですが、講習の日程が合わなければ申請の時期が後ろにずれ、そのぶん固定費だけが出ていく期間が長くなります。日程を先に押さえておくことが、結果として費用を抑えることにつながります。
出典派遣元責任者講習(厚生労働省) (厚生労働省/2026年10月18日確認)

人材派遣は、派遣スタッフを自社で雇用し、その労働力を派遣先に提供して派遣料金を受け取る事業です。したがって、売上から出ていく費用のいちばん大きなものは派遣スタッフの人件費です。給与のほか、会社が負担する社会保険料・労働保険料、有給休暇の費用、教育訓練の費用がここに入ります。
会社設立の段階で見落としやすいのは、派遣スタッフについても、要件を満たせば健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険に加入させる義務があり、その会社負担分が毎月かかることです。保険料率は年度や加入する保険者で変わるため、協会けんぽの保険料額表などで、その時点の料率を確かめてください。
| 人件費の項目 | 会社設立の前に決めておくこと |
|---|---|
| 派遣スタッフの賃金 | 同一労働同一賃金の方式(労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か) |
| 社会保険料・労働保険料の会社負担 | 加入の要件と、手続きを誰が行うか |
| 教育訓練の費用 | フルタイムで1年以上の雇用見込みの人に、最初の3年間は毎年概ね8時間以上。有給かつ無償 |
| 役員報酬 | 許可が下りるまで売上がない期間も含めて、いくらにするか |
| 内勤スタッフの給与 | 派遣元責任者・営業・事務を誰が担うか |
同一労働同一賃金への対応で、派遣スタッフの賃金の決め方そのものが変わります。
同一労働同一賃金への対応は、人件費の設計そのものを左右します。労使協定方式を選べば、厚生労働省が示す一般労働者の賃金水準と同等以上になるよう賃金を決める必要があり、派遣先均等・均衡方式を選べば、派遣先の通常の労働者との均衡を図る必要があります。どちらでも、マージンを大きく取るために賃金を下げる、という設計はできません。
役員報酬も人件費です。法人税の計算で損金に入れるには、原則として毎月同じ額を払う定期同額給与にする必要があり、額を改定できるのも原則として事業年度開始の日から3か月を経過する日までに限られます。途中で自由に変えることはできません。許可が下りるまでの売上のない期間と、資産要件の維持を見ながら、無理のない額にしておくことが大切です。
出典派遣労働者の同一労働同一賃金について (厚生労働省/2026年10月18日確認)

「人材派遣 費用 勘定科目」と調べる方は、会社設立にかかった費用をどう記帳するかを気にしているはずです。ここは一般の会社設立と同じ処理ですが、人材派遣の場合は許可の資産要件の計算に効いてくるところが違います。
ここで、許可の資産要件を思い出してください。基準資産額は「資産(繰延資産及び営業権を除く)の総額から負債の総額を引いた額」でした。つまり、会社設立の費用を創立費・開業費として繰延資産に計上しても、その分は基準資産額には数えられません。費用として一度に落としても、資産として残しても、基準資産額が減ることに変わりはないのです。

ですから、資本金を決めるときは「2,000万円+会社設立と開業準備で出ていく費用+余裕」で考える必要があります。勘定科目の選び方で基準資産額を増やすことはできません。許可の費用(収入印紙・登録免許税)や派遣元責任者講習の受講料をどの科目で処理するかも含めて、記帳の型は税理士と決めておくと、決算のたびに迷わずに済みます。
出典法人税法施行令(e-Gov法令検索) (デジタル庁(e-Gov)/2026年10月18日確認)

関連キーワードには「起業 資金」が多く並びます。人材派遣の会社設立で資金を集めるときは、何のための資金かで集め方を分けて考えます。

節税の観点では、役員報酬の決め方や、資本金の額による税負担の違いが論点になります。たとえば赤字でもかかる法人住民税の均等割は、総務省の解説にある標準税率で、資本金等1千万円以下・従業者50人以下なら年7万円(道府県民税2万円+市町村民税5万円)ですが、資本金等が1千万円を超え1億円以下になると年18万円(5万円+13万円)に上がります。資本金2,000万円で会社設立をする人材派遣では、後者の区分になるのが普通です。税率は自治体で異なるため、所在地の自治体で確かめ、毎年の固定費として見込んでおいてください。
この見出しを詳しく書いた記事
出典創業支援(日本政策金融公庫) (日本政策金融公庫/2026年10月18日確認)

人材派遣の会社設立の費用について、ここまでの内容を四つの箱に戻してまとめます。
| 箱 | 中身 | 目安(2026年10月18日時点) |
|---|---|---|
| 登記の費用 | 定款の認証手数料・印紙代・登録免許税 | 資本金2,000万円なら株式会社20万〜24万円、合同会社14万〜18万円 |
| 許可の費用 | 収入印紙・許可の登録免許税 | 事業所1か所で21万円 |
| 開業準備の費用 | 事業所・備品・講習・専門家の報酬 | 条件次第。見積りで確かめる |
| 資産要件の資金 | 基準資産額・現金預金 | 事業所1か所で2,000万円・1,500万円以上 |
前提:株式会社または合同会社/資本金2,000万円/事業所1か所。条件が変われば結果も変わります。
このほかに、許可が下りるまでの固定費、許可後の派遣スタッフの給与の先払い、毎年の法人住民税の均等割と社会保険料があります。そして許可は初回3年、その後は5年ごとに更新があり、更新のときも資産要件を満たしている必要があります。会社設立のときに資産要件をぎりぎりで満たしても、赤字で割り込めば許可の更新ができず、事業を続けられなくなるおそれがあります。
また、労働局には指導・監督の権限があり、法令違反があれば改善命令や許可の取消に至ることがあります。無許可で労働者派遣事業を行えば、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象です。費用を抑えるために手続きを省く、という考え方は取れません。
当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。人材派遣の会社設立の費用は、資本金・会社形態・事業所の数で大きく変わります。ここに並べた数字は判断材料として使い、ご自身の条件での金額は専門家と所管の労働局で確かめてください。
出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年10月18日確認)
人材派遣の会社設立の費用は、法定費用だけを見れば数十万円です。けれども実際に用意するお金の大きさを決めるのは、労働者派遣事業の許可の資産要件と、許可が下りるまで売上が立たない期間の固定費です。この三つを別々の箱に入れて数えるだけで、ネットで見かける金額のばらつきは説明がつきます。
資産要件のために置いたお金は、使ってしまえば次の更新で困ります。会社設立の費用を払い、事業所を借り、派遣スタッフの給与を先に払いながらも、基準資産額と現金・預金を割り込まない計画になっているかを、申請の前に確かめてください。
この記事の金額は2026年10月18日時点のものです。手数料や税率は改定されますので、出典としてリンクした一次情報で最新の内容を確かめ、許可の可否は労働局、申請書類は社会保険労務士、税務は税理士にご相談ください。
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派遣業は、許可が下りてからが本番。役員報酬と社会保険の設計を任せられる所
※ 設立サポート手数料0円は顧問契約(月1.5万円〜)とあわせて依頼する場合の条件です。個別の判断は税理士へ。
※ 当サイトは、freee会社設立×会計事務所SoVa「士業伴走プラン」(提供:株式会社SoVa)を紹介しています。設立サポート手数料0円は、freee会社設立の利用を前提に、設立後の顧問契約(月1.5万円〜)とあわせて依頼する場合の条件です。労働者派遣事業の許可申請そのものは同プランの対象ではありません。許可の可否は所管の都道府県労働局、就業規則・労働保険の手続きは社会保険労務士にご確認ください。最新の料金・条件は必ず公式ページでご確認ください。