本文へ移動する

人材派遣 会社設立 助成金

対象になりうる取組はどれか。人材派遣の会社設立と助成金の接点

どの取組が対象になりうるか知りたい方へ

人材派遣の会社設立を進めていて、自社の取組が助成金の対象になりうるかを知りたい方に向けた記事です。

人材派遣では、教育訓練の実施が許可の基準として求められます。処遇の改善も、同一労働同一賃金の枠組みのなかで検討することになります。

これらの取組が助成金の対象になる可能性はあります。ただし要件は年度ごとに見直されます。この記事では考え方を整理します。金額や要件は厚生労働省の最新の案内でご確認ください。

人材派遣で行う取組を並べる

人材派遣で行う取組を並べたイラスト
事業に必要な取組を、先に整理します。

助成金の話をする前に、人材派遣の事業で行う取組を並べてみます。

労働者派遣事業の許可の基準から、いくつかの取組が求められます。

人材派遣の事業で行う主な取組のチェックリスト

これらは、助成金のために行うものではありません。事業を適法に行うために必要なものです。

そのうえで、いくつかは助成金の対象になりうる領域と重なります。

人材派遣の会社設立では、まずこの一覧を作ってください。何をしなければならないのかが分かってから、助成金を検討する順序です。

順序を逆にして、助成金の要件に合わせて取組を決めれば、許可の基準を満たさなくなる恐れがあります。

そして、この一覧は会社設立の準備の段階で作れます。登記が終わるのを待つ必要はありません。

人材派遣の会社設立では、この整理を早めに行ってください。何をするかが決まれば、必要な人員も費用も見えてきます。

許可の基準が優先します許可の基準を満たさなければ、そもそも事業ができません。人材派遣の会社設立では、まず基準を満たす設計をしてください。助成金はそのあとの話です。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

教育訓練に関する接点

教育訓練に関する接点を表したイラスト
許可の基準と助成金の要件は、別に定められています。

厚生労働省は、職業訓練に関する助成金を案内しています。

人材派遣では、キャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施が許可の基準として求められています。

したがって、訓練を実施することは決まっています。あとは、それが助成金の要件に合うかどうかです。

ただし、二つの要件は別のものです。

許可の基準として求められる訓練は、フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、少なくとも最初の3年間は毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会の提供が必要とされています。入職時の教育訓練は全員に必須です。

助成金の側には、対象となる訓練の内容、時間数、実施方法、対象となる労働者について、それぞれの定めがあります。

両方を満たす設計ができれば理想的ですが、必ずしも一致しません。

人材派遣の会社設立では、まず許可の基準を満たす訓練計画を作り、そのうえで助成金の要件を確認してください。

そして、訓練を実施する日は派遣先での就業がありません。稼働率が下がるということです。会社設立の段階で人員計画を立てるとき、この点も見込んでおいてください。

人材派遣の会社設立では、訓練の費用を価格設計に織り込むことになります。派遣料金と賃金の差額から出ていく費用の一つです。

助成金の対象になるかどうかを確認するのは、計画ができてからで構いません。

有給かつ無償が原則です厚生労働省の資料は、許可の基準として求められる教育訓練について、有給かつ無償で実施することが原則であるとしています。訓練の時間について賃金を払い、受講料を派遣スタッフに負担させないということです。この費用は、いずれにしても会社が負担します。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

雇用形態と処遇に関する接点

雇用形態と処遇に関する接点を表したイラスト
賃金には下限があり、その枠組みのなかで考えます。

厚生労働省は、新規雇用・転換に関するもの、賃金・労働条件の向上に関するものも案内しています。

人材派遣では、派遣労働者の待遇について、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式のいずれかによることとされています。

労使協定方式を選ぶ場合、協定対象派遣労働者の賃金の額は、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上であることが必要とされています。

この一般的な賃金水準は、厚生労働省が職業安定局長通達により毎年度示しています。

つまり、人材派遣では賃金に下限があるということです。処遇の改善は、この枠組みのなかで考えることになります。

そして、雇用形態についても選択があります。有期雇用か、無期雇用か。

無期雇用にすれば、期間制限の扱いが変わります。労働者派遣法第35条の3の期間制限には、第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除くという括弧書きがあります。

ただし、無期雇用にすれば雇用の責任も重くなります。仕事がない期間の賃金をどうするかという問題が出ます。

会社設立の段階で、有期を基本にするか無期を基本にするかを決めておいてください。就業規則の作り方も、収支の見通しも変わります。

そして、どちらの方式を選んでいるかは情報提供の対象です。事業所ごとに公開されるため、外から分かる情報になります。

会社設立の段階では、まず有期雇用で始めて、事業が安定してから無期雇用を検討するという進め方も考えられます。

助成金のために雇用形態を決めないでください無期雇用にするかどうかは、事業の設計として決めることです。助成金があるからという理由で決めれば、あとで負担に耐えられなくなります。人材派遣の会社設立では、収支の見通しから判断してください。

出典派遣労働者の同一労働同一賃金について (厚生労働省/2026年8月27日確認)

取組の前に、計画の届出が要るものがあります

取組の前に計画の届出が要ることを表したイラスト
始める前に確認する習慣をつけてください。

助成金には、取組を始める前に計画を届け出ることが求められるものがあります。

届出をせずに取組を始めれば、あとから申請しても対象になりません。

これが、助成金でいちばん多い取りこぼしです。

計画の届出が必要な場合の流れを示した時系列図

一つ目の確認を、取組を始める前に行ってください。

人材派遣の会社設立では、教育訓練の実施計画を作る段階で、この確認を入れておくとよいでしょう。

ただし、確認のために許可の準備を遅らせないでください。許可がなければ事業は始められません。

そして、四つ目の申請の期間も守る必要があります。期間を過ぎれば申請できません。

人材派遣の会社設立の直後は、許可の準備で手一杯になりがちです。助成金の確認は、余裕があるときに行ってください。

そして、届出の様式や添付書類も定められています。窓口で確認しておけば、やり直しを避けられます。

期限を過ぎれば申請できません計画の届出も、支給の申請も、期限が定められています。人材派遣の会社設立では、期限を一覧にして管理してください。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

記録が、すべての前提になります

記録がすべての前提になることを表したイラスト
一つの記録が、複数の場面で使えます。

助成金の申請では、記録の提出を求められます。

出勤簿、賃金台帳、労働条件通知書、就業規則、実施した取組の記録。これらが揃っていなければ、申請できません。

そして、これらは労働者派遣事業の運営でも必要なものです。

労働者派遣法第37条は、派遣元管理台帳の定めを置いています。厚生労働省の資料は、教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間保存することを求めています。

つまり、助成金のために特別な記録を作るというより、事業に必要な記録が申請にも使えるということです。

人材派遣の会社設立では、この記録の様式を準備期間に作ってください。

様式が決まっていれば、記録を残す手間が減ります。あとから作ろうとすると、初期の記録が抜けます。

そして、これらの記録は許可の更新のときにも見られます。一つの記録が、複数の場面で使えるということです。

会社設立の準備期間は、この様式づくりに使える貴重な時間です。事業が始まってからでは、日々の業務に追われて後回しになります。

そして、記録は電子でも紙でも構いません。大切なのは、いつ、誰が、何をしたかが後から分かることです。

会社設立の準備で作る様式は、できるだけ簡素にしてください。続かない仕組みは、結局使われません。

記録は三つの場面で使えます許可の更新の審査、事業報告書と情報提供、助成金の申請。人材派遣の会社設立では、この三つを見越して記録の様式を作ってください。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

受給できる額と、かかる負担を比べる

受給できる額と負担を比べることを表したイラスト
もともとやることかどうかで、判断が変わります。

助成金を検討するときは、受給できる可能性のある額と、かかる負担を比べてください。

負担として数えるべきものを並べます。

  • 要件を満たすための取組そのものの費用。訓練の時間の賃金、教材、外部講座など。
  • 書類を準備する時間。出勤簿、賃金台帳、実施の記録の整理。
  • 計画の届出と申請の手間。窓口とのやり取りを含みます。
  • 社会保険労務士に依頼する場合の報酬。
  • 受給できなかった場合の損失。取組の費用は戻りません。

一つ目については、許可の基準として実施が求められている取組であれば、助成金の有無にかかわらず費用が発生します。この場合、助成金は純粋な上乗せになります。

しかし、助成金のために追加で行う取組であれば、その費用は追加の負担です。

人材派遣の会社設立では、この区別をしてください。もともとやることか、助成金のためにやることか。

そして、五つ目も忘れないでください。申請しても認められないことがあります。

そして、会社設立の直後は代表者の時間がいちばん貴重です。二つ目と三つ目の時間の費用を、金額に置き換えて考えてみてください。

四つ目の専門家への依頼も、金額で比べてください。報酬が受給額の相当部分を占めるのであれば、労力に見合わないこともあります。

もともとやることなら、確認する価値があります許可の基準として教育訓練を実施するのであれば、その取組が助成金の対象になりうるかを確認する価値はあります。追加の費用がかからないからです。人材派遣の会社設立では、この観点で検討してください。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

要件は年度ごとに見直されます

要件が年度ごとに見直されることを表したイラスト
去年の情報が、今年は通用しないことがあります。

助成金の制度は、年度ごとに見直されます。

厚生労働省の案内には、2022年8月1日に雇用関係助成金の申請時の登記事項証明書の提出が不要になったこと、2023年3月31日に生産性要件が廃止されたことが記載されています。

つまり、去年の情報が今年は通用しないということが起こります。

インターネットで見つけた解説記事が、古い制度をもとに書かれていることもあります。

人材派遣の会社設立で助成金を検討するなら、必ず厚生労働省の案内でその時点の内容を確認してください。

そして、所管の労働局やハローワークに問い合わせるのが確実です。窓口で確認すれば、最新の取扱いが分かります。

この記事でも、具体的な金額や要件は書いていません。書けば、すぐに古くなるからです。

人材派遣の会社設立を進める方は、この点を踏まえて情報に接してください。年度をまたげば、前提が変わっていることがあります。

会社設立を支援する事業者の説明を聞くときも、出典と時点を確認してください。

当サイトの記載は一般的な説明ですこの記事は2026年8月27日時点の厚生労働省の公表資料にもとづく一般的な説明です。個別の助成金の要件、金額、手続きについては、必ず厚生労働省の案内と所管の労働局・ハローワークでご確認ください。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

会社設立の段階での進め方

会社設立の段階での進め方を表したイラスト
許可を受けることが、最優先です。

人材派遣の会社設立で、助成金をどう位置づけるか。進め方を整理します。

まず、労働者派遣事業の許可を受けることに集中してください。許可がなければ事業は始まりません。

許可の要件を満たす教育訓練の実施計画を作り、就業規則を整え、事業所を確保し、派遣元責任者講習を受ける。これが最優先です。

そのうえで、労働保険と社会保険の適用の手続きを期限どおりに行ってください。多くの雇用関係助成金は、雇用保険の適用事業所であることを前提にしています。

事業が始まり、派遣スタッフを雇用するようになったら、そこで助成金を検討します。

そのときに、記録が揃っていれば話が早くなります。だからこそ、会社設立の段階で記録の様式を作っておくのです。

そして、取組を始める前に確認するという習慣をつけてください。あとからでは間に合わないものがあります。

そして、事業が動き出したあとも、まず優先すべきは適法な運営です。派遣元管理台帳の作成、就業条件の明示、教育訓練の実施、情報提供の更新。これらを回せる体制ができてから、助成金を考えてください。

人材派遣の会社設立の一年目は、やることが多くなります。無理に助成金まで手を伸ばして、本来の業務が回らなくなるのでは本末転倒です。

許可までの期間にできること労働者派遣事業の許可が下りるまで、派遣の売上はありません。しかし、この期間に体制を作れます。人材派遣の会社設立では、この時間を準備に使ってください。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|取組と助成金の接点

取組と助成金の接点をまとめたイラスト
取組が先で、助成金はあとです。

人材派遣の会社設立と助成金の接点について、まとめます。

  1. 事業に必要な取組を先に整理する。 教育訓練、相談窓口、待遇の決定、社会保険の適用など。
  2. 許可の基準と助成金の要件は別。 一致するとは限りません。
  3. 賃金には下限がある。 労使協定方式では一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上であることが必要です。
  4. 取組の前に計画の届出が要るものがある。 あとから気づいても間に合いません。
  5. 記録がすべての前提。 許可の更新、事業報告書、助成金の申請で使えます。
  6. 受給額と負担を比べる。 もともとやることか、追加の取組かで判断が変わります。
  7. 要件は年度ごとに見直される。 必ず最新の案内でご確認ください。

助成金の要件に合わせて取組を決めるのではなく、事業に必要な取組を決めてから、対象になりうるかを確認してください。

人材派遣の会社設立では、まず許可を受けることに集中してください。助成金は、事業が動き出してからの話です。

この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料により確認したものです。制度は年度ごとに見直されます。個別の助成金の要件と手続きは厚生労働省の案内と所管の労働局・ハローワークでご確認ください。申請の実務は社会保険労務士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。

出典事業主の方のための雇用関係助成金 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

取組が先、助成金はあとです

助成金の要件に合わせて取組を決めるのではなく、事業に必要な取組を決めてから、対象になりうるかを確認してください。順序を逆にすると、許可の基準を満たさなくなる恐れがあります。

そして、取組の前に計画の届出が必要なものがあります。人材派遣の会社設立では、始める前に確認する習慣をつけてください。

個別の助成金の要件と手続きは厚生労働省の案内と所管の労働局・ハローワークでご確認ください。申請の実務は社会保険労務士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説です。

この記事は判断の材料になりましたか?

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣を示すものではありません。並び順にご注意ください。内容・料金・条件は各サイトの提供者が随時変更します。ご覧になる時点の最新情報は、必ずそれぞれの公式ページでご確認ください。

あわせて読みたい記事

同じテーマで、判断の材料になる記事です