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人材派遣 会社設立 必要書類

就業規則・個人情報適正管理規程・教育訓練計画。人材派遣の会社設立で自分が作る書類

ひな形をそのまま使おうとしている方へ

人材派遣の会社設立で、就業規則をどうするか考えている方に向けた記事です。

市販のひな形や、他業種の会社設立で使われる書式には、労働者派遣事業の許可の基準が求める内容が入っていないことがあります。そのまま出せば、指摘を受けます。

この記事では、許可の基準が何を求めているのかを条項の単位で確かめます。実際の作成は社会保険労務士に依頼することになりますが、何を頼むのかを知っておくために読んでください。

この三つが、いちばん時間のかかる書類です

自分で作る三つの書類を表したイラスト
形式ではなく、中身で判断される書類です。

人材派遣の会社設立で必要な書類のうち、役所で取るものと様式に沿って書くものは、材料がそろえば片づきます。時間がかかるのは、自分で中身を考える書類です。

それが、就業規則・個人情報適正管理規程・教育訓練計画の三つです。加えて、派遣先の提供のための事務手引・マニュアル等もあります。

この三つが重いのは、中身が許可の基準を満たしているかで判断されるからです。形式を整えても、基準が求める内容が入っていなければ意味がありません。

会社設立の手続きそのものは、様式に沿って書けば進みます。定款も登記申請書も、法務局や公証役場の記載例があります。ところがこの三つには記載例がありません。自分の会社の運用として、何をどうするのかを決めて書くことになります。

人材派遣の会社設立で自分が作る書類のチェックリスト
作成は社会保険労務士の業務です就業規則の作成や、労働社会保険の手続きは社会保険労務士の業務です。この記事は、何を依頼するのかを知っていただくために基準の中身を書いています。ご自身で作る場合も、最終的には所管の都道府県労働局の確認を受けることになります。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

就業規則|教育訓練を有給かつ無償で行う旨

教育訓練の受講時間の取扱いを表したイラスト
教育訓練の時間は労働時間。賃金を払うのが原則です。

就業規則に求められる一つ目の内容が、教育訓練の受講時間の取扱いです。

厚生労働省の許可基準は、実施する教育訓練が有給かつ無償で行われるものであることとし、教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うことを原則とする、としています。そして、これらの取扱いは就業規則または労働契約等に規定することとする、と書かれています。

つまり、教育訓練の時間は働いた時間として扱い、賃金を払う。そのことを就業規則に書いておく必要があるということです。

例外的な取扱いもあります派遣元事業主において時間を管理した訓練を実施することが困難であることに合理的な理由がある場合、たとえば派遣元事業所と派遣先の事業所との距離が非常に遠く終業後に訓練を行うことが困難であり、eラーニングの設備もない場合などについては、キャリアアップに係る自主教材を渡す等の措置を講ずることとしても差し支えないとされています。ただしその場合は、当該教材の学習に必要とされる時間数に見合った手当を支払うものであることとされています。

会社設立の段階でこの条項を入れておくと、あとの運用がはっきりします。教育訓練を実施するたびに、その時間の賃金をどう扱うかで迷わずに済むからです。

人材派遣の会社設立を進めるとき、就業規則は「あとで作ればよい書類」と思われがちです。ところが許可申請では該当箇所の写しを求められるため、会社設立の登記と並行して用意することになります。しかも中身は労働者派遣事業に固有のもので、他業種の会社設立で使う書式では足りません。

なお、教育訓練を受講するためにかかる交通費についても定めがあります。派遣先との間の交通費より高くなる場合は、派遣元事業主において負担すべきものであるとされています。この点も就業規則や社内の取扱いで整理しておくとよいでしょう。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

就業規則|契約終了だけを理由に解雇しない旨

解雇に関する規定を表したイラスト
書き加えるのではなく、書いてはいけない条項があります。

二つ目と三つ目が、解雇に関する規定です。ここが、他業種の就業規則をそのまま使えない最大の理由になります。

厚生労働省の許可基準は、派遣元事業主に関する判断として次のように定めています。無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと。また、有期雇用派遣労働者についても、労働者派遣契約終了時に労働契約が存続している派遣労働者については、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと。

「規定がないこと」という書き方に注意してください。何かを書き加えるのではなく、書いてはいけない条項があるということです。

就業規則に入れる条項と入れてはいけない条項を比べた図

この規定が置かれている理由は、派遣スタッフの雇用の安定にあります。派遣先との契約が終わったからといって、雇用そのものを終わらせることはできない、という考え方です。

これは会社の資金繰りに直結します。派遣先との契約が終わっても、派遣スタッフの雇用は続きます。次の派遣先が見つかるまでのあいだ、人件費は出ていきます。人材派遣の会社設立で運転資金を厚く見る理由のひとつが、ここにあります。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

就業規則|休業手当を支払う旨

休業手当の規定を表したイラスト
稼働がゼロでも人件費は止まらない。それが人材派遣です。

四つ目が、休業手当に関する規定です。

厚生労働省の許可基準は次のように定めています。無期雇用派遣労働者、または有期雇用派遣労働者であるが労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した派遣労働者について、次の派遣先を見つけられない等、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合には、労働基準法第26条に基づく手当を支払う旨の規定があること。

前の項目とつながっています。派遣契約が終わっても解雇できない。では、次の派遣先が見つかるまでどうするのか。休業させる場合には手当を払う、というのがこの規定です。

会社設立の資金計画に、この費用を入れてください派遣先との契約が切れたあと、次が決まるまでの期間は、売上がないのに人件費が出ていきます。人材派遣は、稼働がゼロでも人件費が止まらない事業だということです。この点は、会社設立の運転資金の見積もりに必ず入れておいてください。

労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中の労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない、と定めています。具体的な計算方法や運用は、労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

この四つの内容が、就業規則に求められるものです。会社設立のときに一度作れば済むものではなく、実際に運用していく規則になります。作成の段階から、運用できる内容にしておいてください。

あわせて、就業規則そのものの届出も別にあります。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る必要があります。会社設立の直後は人数が少なくても、派遣スタッフが増えれば届出が必要になります。

許可申請で写しを提出することと、労働基準監督署への届出は、別の手続きです。会社設立の段階で両方を意識しておいてください。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

個人情報適正管理規程|四つの内容と、実際の措置

個人情報適正管理規程を表したイラスト
規程の文面と、実際の措置の両方が求められます。

二つ目の書類が個人情報適正管理規程です。労働者派遣事業の許可の要件には、個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることが含まれます。

規程に含める内容は四つです。

  1. 派遣労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること
  2. 業務上知り得た個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること
  3. 派遣労働者等から求められた場合の個人情報の開示または訂正(削除を含む)の取扱いに関する事項についての規程があり、その規程について派遣労働者等への周知がなされていること
  4. 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関して、派遣元責任者等を苦情処理の担当者等の取扱責任者と定めるなど、事業所内の体制を明確にし、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること

そして、規程の文面だけでなく実際の措置も求められます。個人情報を目的に応じ必要な範囲で正確かつ最新のものに保つための措置、紛失・破壊・改ざんを防止するための措置、取り扱う職員以外の者によるアクセスを防止するための措置、保管の必要がなくなった個人情報を破棄または削除するための措置です。

収集してはならない情報があります人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況は、原則として収集してはならないとされています。ただし、税金や社会保険の取扱い等の労務管理を適切に実施するために必要なもの、日雇派遣の禁止の例外として認められる場合の収入要件を確認するために必要なものなどは除かれます。

会社設立の開業準備では、施錠できるキャビネットなど、アクセスを防止する措置に対応する備品も用意することになります。事業所の実地確認でも見られる項目です。

人材派遣は、派遣スタッフの履歴書や職務経歴、資格、健康情報といった個人情報を大量に扱う事業です。会社設立の段階でこの管理の仕組みを作っておかないと、事業が大きくなってから整えるのは難しくなります。

なお、個人情報の保管や使用は収集目的の範囲に限られます。派遣元事業主が派遣先に提供できる派遣労働者の個人情報は、法第35条第1項の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるとされています。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

教育訓練計画|対象・内容・時間数

教育訓練計画の内容を表したイラスト
対象・費用の扱い・内容・時間数。すべてに基準があります。

三つ目が教育訓練計画です。労働者派遣事業の許可の要件として、派遣労働者のキャリアの形成を支援する制度を有することが求められます。

計画に求められる内容を、項目ごとに整理します。

教育訓練計画に求められる内容(2026年8月27日時点、厚生労働省の許可基準による)
項目 求められる内容
対象 雇用するすべての派遣労働者を対象としたものであること
費用の扱い 有給かつ無償で行われるものであること
内容 派遣労働者のキャリアアップに資する内容であること
入職時 派遣労働者として雇用するにあたり実施する教育訓練が含まれたものであること
無期雇用の場合 長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容のものであること
頻度 少なくとも最初の3年間は毎年1回以上の機会の提供が必要
時間数 フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、少なくとも最初の3年間は毎年概ね8時間以上
その後 キャリアの節目などの一定の期間ごとにキャリアパスに応じた研修等が用意されていること

実施形態は、通常の業務を一時的に離れて行う教育訓練だけでなく、日常の業務につきながら計画的に行うものを含めても差し支えないとされています。

受講済みとして扱える例外もあります。過去に同内容の教育訓練を受けたことが確認できる者、当該業務に関する資格を有している等、明らかに十分な能力を有している者です。ただし、受講済みとして扱える派遣労働者であっても、本人が受講を希望する場合は受講させることが望ましいとされています。

キャリア形成に無関係なものは含まれませんヨガ教室や趣味的な英会話教室、面接対策とは異なるメイクアップ教室のような、派遣労働者の福利厚生を目的とした明らかにキャリア形成に無関係なものは含まれません。派遣元事業主は、教育訓練計画がキャリアアップに資する内容であることを説明できなければならないとされています。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

キャリアコンサルティングの窓口と、記録の保存

キャリアコンサルティングの窓口を表したイラスト
窓口の形は自由ですが、担当者には要件があります。

教育訓練計画とあわせて求められるのが、キャリアコンサルティングの相談窓口です。

相談窓口には担当者を配置する必要があります。担当者になれるのは、キャリアコンサルタント(有資格者)、キャリアコンサルティングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者など)、または派遣先との連絡調整を行う営業担当者です。

窓口の形は、事務所内に定められた相談ブースを設置することに限られません。電話による相談窓口の設置、電子メールでの相談の受付、専用のウェブサイトの相談窓口の設置などにより、雇用する派遣労働者がキャリアコンサルティングを申し込めるよう周知し、適切な窓口を提供することとされています。

実施の頻度についても、必ずしも常時行わなければならないわけではなく、たとえば毎週2回定期的に実施することや、派遣労働者の希望に応じ随時実施することも可能とされています。

記録は労働契約終了後3年間保存します派遣元事業主は、派遣労働者のキャリアアップ措置に関する実施状況等、教育訓練等の情報を管理した資料を、労働契約終了後3年間は保存していることとされています。労働契約が更新された場合は、更新された労働契約終了後3年間です。会社設立の段階で、この記録をどう管理するかを決めておいてください。

記録の管理には、派遣元管理台帳を活用することが原則とされています。人事記録等でも構わないとされていますが、記載されていない場合には必要な指導を行うこととされています。

そして、キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続が規定されていることも求められます。事務手引やマニュアル等を整備し、派遣先の提供はそれに基づいて行うということです。

これらは会社設立の段階では書類の話に見えますが、実際には人件費と事務の負担になって返ってきます。教育訓練は有給かつ無償で行うので、その時間の賃金がかかります。相談窓口には担当者を置くので、その人件費がかかります。記録の保存には管理の手間がかかります。

人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、これらの費用を見込んでおいてください。許可の要件である以上、実施しないという選択肢はありません。

そして、会社設立のときに作った計画は、更新のときにも見られます。厚生労働省の業務取扱要領は、更新申請の直前の有効期間内において、キャリア形成支援制度について許可の基準を満たす実施状況であったかを確認するとともに必要な指導を行い、計画はあっても実施されておらず指導しても是正されないような義務違反がみられた場合は、許可基準を満たしていないとして許可を更新しないこととする、としています。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|自分で作る書類で押さえること

自分で作る書類のまとめのイラスト
許可を取ったあとも使い続ける書類です。

人材派遣の会社設立で自分が作る書類について、まとめます。

  1. 就業規則の四つ。 教育訓練を有給かつ無償で行う旨、無期・有期それぞれについて契約終了のみを理由とする解雇の規定がないこと、休業手当を支払う旨。
  2. 「規定がないこと」に注意。 他業種のひな形には、契約終了で解雇できる趣旨の条項が入っていることがあります。
  3. 個人情報適正管理規程の四つ。 取扱者の範囲、職員への教育、開示・訂正、苦情処理。文面だけでなく実際の措置も見られます。
  4. 教育訓練計画。 全員対象、有給かつ無償、キャリアアップに資する内容、入職時訓練を含む、最初の3年間は毎年概ね8時間以上。
  5. キャリアコンサルティングの窓口。 担当者の要件があります。窓口の形は電話や電子メールでも構いません。
  6. 記録は労働契約終了後3年間。 派遣元管理台帳の活用が原則です。
  7. 派遣先の提供の事務手引等。 キャリア形成を念頭においた手順を定めます。

この三つは、許可を取ったあとも使い続ける書類です。更新の審査でも、基準を満たす実施状況であったかが確認されます。作って終わりではありません。

この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。就業規則の作成や労働社会保険の手続きは社会保険労務士へ、書類の内容が要件を満たすかどうかの判断は所管の都道府県労働局へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

この三つは、許可を取ったあとも使い続けます

就業規則・個人情報適正管理規程・教育訓練計画は、許可申請のためだけに作る書類ではありません。派遣スタッフを雇い、実際に運用していくための土台です。

そして許可の更新のときにも、これらが基準を満たす実施状況であったかが確認されます。厚生労働省の業務取扱要領は、計画はあっても実施されておらず、指導しても是正されないような義務違反がみられた場合は、許可基準を満たしていないとして許可を更新しないこととする、としています。

作って終わりではありません。運用まで見て作ってください。書類の作成は社会保険労務士に、内容が要件を満たすかどうかの判断は所管の都道府県労働局にご相談ください。

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