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偽装請負 派遣 違い

偽装請負を防ぐ体制。人材派遣の会社設立で作る記録と契約の型

体制の作り方を知りたい方へ

人材派遣の会社設立を進めていて、偽装請負と言われない体制をどう作るか考えている方に向けた記事です。

労働者派遣事業の許可を受けているなら、労働者派遣として堂々と行えます。問題になるのは、請負として契約している業務のほうです。

この記事では、契約の型、指揮命令の経路、記録の残し方を整理します。会社設立の段階から作れるものばかりです。

実態は、放っておくと流れます

実態が流れていくことを表したイラスト
現場は、楽なほうに寄っていきます。

請負として契約を始めても、運用のなかで実態が変わっていくことがあります。

現場では、発注者の担当者が直接指示を出すほうが早いからです。自社の責任者を通すより、その場で言ったほうが仕事が進みます。

しかし、それを続ければ、発注者が指揮命令をしている状態になります。

昭和61年労働省告示第37号の第二条第一号は、業務の遂行に関する指示その他の管理、労働時間等に関する指示その他の管理、企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を、自ら行うことを求めています。

これらを発注者が行っていれば、請負とは言えません。

人材派遣の会社設立を考えている方にとって、この流れやすさは知っておくべきことです。契約の形を整えるだけでは足りないということだからです。

そして、この流れは悪意から起こるものではありません。現場が仕事を進めようとした結果として起こります。だからこそ、仕組みで止める必要があります。

告示第三条は、各号のいずれにも該当する事業主であっても、法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないと定めています。

形だけ整えても意味がないということです。だからこそ、実態を保つ仕組みが要ります。

労働者派遣なら、この問題は起きません労働者派遣事業の許可を受けて労働者派遣として行っていれば、派遣先が指揮命令をすることは当然です。問題になるのは、請負として契約しているのに実態が労働者派遣になっている場合です。人材派遣の会社設立で許可を取ることには、この分かりやすさという利点もあります。

出典労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

契約の型を、会社設立の段階で作る

契約の型を作ることを表したイラスト
指揮命令の経路を、契約に書いておきます。

まず、契約書の型を作ります。会社設立の準備の段階で用意できるものです。

労働者派遣として行う場合、労働者派遣契約には定めるべき事項があります。労働者派遣法と厚生労働省令に定めがあります。

請負として行う場合は、業務の範囲と成果、指揮命令の経路、費用の負担、責任の所在を明確にしておくことになります。

業務の範囲
何を完成させるのか。作業の指示ではなく、成果で書きます
指揮命令の経路
自社の責任者を通すことを明記します
連絡の方法
発注者から自社への連絡先と方法を定めます
設備・材料の負担
誰が用意するのかを明確にします
労働時間の管理
自社が行うことを明記します
再委託の可否
無断の再委託を禁じるかどうか

二つ目の指揮命令の経路が、いちばん大切です。発注者から現場の作業者に直接指示が行かないようにする、という取り決めです。

そして、契約書に書いてあるだけでは足りません。現場でそのとおりに運用されている必要があります。

人材派遣の会社設立では、この型を最初に作ってください。案件ごとに一から考えるより、型があるほうが確実です。

一つ目の業務の範囲も大切です。作業の手順を細かく書けば、それ自体が発注者からの指示になりかねません。何を完成させるのかという成果で書くのが基本です。

そして、契約の型は案件が増えるほど価値が出ます。人材派遣の会社設立で扱う分野が決まっていれば、その分野に合わせた型を作っておけます。

労働者派遣なら契約の型も定まっています労働者派遣契約に定めるべき事項は法令に示されています。厚生労働省が様式例を示していることもあります。人材派遣の会社設立で許可を取るなら、この型に沿って作ることになります。

出典「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について (厚生労働省/2026年8月27日確認)

指揮命令の経路を、一本にする

指揮命令の経路を一本にすることを表したイラスト
責任者を必ず通す形にします。

契約に書いたら、次は現場での運用です。

請負として行う場合の指示の流れを示した図

この流れを崩さないことが、実態を守るということです。

発注者が直接作業者に指示を出せば、この流れは崩れます。作業者が発注者に直接報告しても同じです。

現場では、この経路を守るのが難しい場面があります。責任者が席を外していれば、その場で聞きたくなるからです。

だからこそ、代わりの連絡先を決めておいてください。責任者が不在のときの窓口です。

人材派遣の会社設立でこの体制を考えるなら、責任者の人数と配置も計画に入れることになります。人件費として計算してください。

そして、作業者にもこの経路を伝えておく必要があります。発注者から直接言われたら、自社の責任者に確認する。この習慣を作ってください。

会社設立の段階で、この説明を入職時の教育に組み込んでおくとよいでしょう。あとから伝えるより、最初に伝えるほうが定着します。

経路が崩れれば、実態も崩れます一度や二度のことではなく、それが常態になれば実態が変わります。人材派遣の会社設立では、この経路を守れるかどうかを事前に検討してください。守れないなら、労働者派遣として行うほうが素直です。

出典労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

記録を残す

記録を残すことを表したイラスト
日々の運用のなかで残していきます。

実態を示すには、記録が必要です。

労働局の調査を受けたとき、口頭で説明するだけでは足りません。記録があれば、実態を示せます。

残しておく記録のチェックリスト

これらは、あとから作れるものではありません。日々の運用のなかで残していくものです。

そして、様式が決まっていれば、記録を残す手間が減ります。人材派遣の会社設立では、この様式を先に作ってください。

労働者派遣として行う場合も、記録は必要です。派遣元管理台帳、就業条件明示書、教育訓練の記録。これらは法令に定めがあります。

どちらの制度で行うにしても、記録を残す仕組みは要ります。会社設立の段階で作っておけば、事業の開始と同時に運用できます。

記録は、紙でも電子でも構いません。大切なのは、いつ、誰が、何をしたかが分かることです。凝った仕組みを作る必要はありません。

そして、記録の保存期間も決めておいてください。労働者派遣事業では、教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間保存することが求められています。

記録は更新の準備にもなります労働者派遣事業の許可の更新では、その期間の運営状況が見られます。日々の記録が、そのまま更新の準備になります。人材派遣の会社設立では、この二重の意味を理解しておいてください。

出典「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について (厚生労働省/2026年8月27日確認)

定期的に確認する

定期的に確認することを表したイラスト
運用は、少しずつずれていきます。

契約と記録が整っても、定期的な確認は必要です。

運用は少しずつ変わります。担当者が代わり、現場の慣習が変わり、気づかないうちにずれていきます。

そこで、定期的に確認する仕組みを作ります。

  • 契約書の内容と、現場の運用が合っているか
  • 指揮命令の経路が守られているか
  • 記録が残されているか
  • 発注者の担当者が直接指示を出していないか
  • 自社の責任者が実際に判断しているか

これらを、たとえば四半期に一度、現場ごとに確認します。

そして、ずれが見つかったら直します。直せないなら、契約の形を見直すことになります。

人材派遣の会社設立では、この確認の担当も決めておいてください。誰も見ていなければ、確認は行われません。

厚生労働省は、労働者派遣・請負を適正に行うためのガイドや、告示に関する疑義応答集を公表しています。確認のときの材料として使えます。

確認は、現場を見に行くことも含みます。書類だけを見ていても、実際の運用は分かりません。

そして、確認の結果を記録に残してください。確認していたこと自体が、体制があることの証しになります。会社設立の段階で、この様式も作っておくとよいでしょう。

ずれが見つかったときが分かれ目ですずれを見つけて、労働者派遣として行うべきだと判断したら、そのときが人材派遣の会社設立や許可申請を考えるタイミングです。放置すれば、指摘を受けるまで続きます。

出典労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

労働者派遣として行うと決めたら

労働者派遣として行うと決めた場合を表したイラスト
準備には、期間がかかります。

確認の結果、労働者派遣として行うべきだと判断したら、許可の取得に向けて動きます。

労働者派遣事業の許可には、資産要件があります。基準資産額が2,000万円に事業所数を乗じた額以上であること、基準資産額が負債の総額の7分の1以上であること、事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に事業所数を乗じた額以上であること。

すでに会社がある場合は、増資などで要件を満たすことになります。会社法の手続きが必要です。

これから会社を作る場合は、会社設立のときに資本金を積むことになります。人材派遣の会社設立では、この額を最初から見込んでおいてください。

そして、事業所の要件、派遣元責任者の選任と講習、教育訓練の実施計画も必要です。

許可申請の時期の目安は、事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前までとされています。準備の期間も含めれば、思い立ってからすぐに始められるものではありません。

だからこそ、早めに判断してください。指摘を受けてから動くのでは、事業が止まる期間が長くなります。

そして、事業所については、労働者派遣事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あることが求められます。既存の事務所で足りるかどうかも確認してください。

許可が下りるまで、労働者派遣は行えません労働者派遣法第5条第1項は、労働者派遣事業を行おうとする者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。許可を受けないで行えば、第59条第2号により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になります。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

会社設立の段階で作れるもの

会社設立の段階で作れるものを表したイラスト
様式と体制は、登記と並行して作れます。

ここまでの内容のうち、会社設立の段階で作れるものを整理します。

契約書の型。労働者派遣契約の様式も、請負契約の様式も、事前に作れます。

記録の様式。指示の記録、勤怠の記録、配置の記録。様式を決めておけば、運用が始まってから作らずに済みます。

責任者の配置の方針。誰が現場の責任者になるのか、不在時は誰が代わるのか。

確認の仕組み。いつ、誰が、何を確認するのか。

そして、労働者派遣事業の許可を目指すなら、派遣元責任者講習の受講、就業規則の作成、教育訓練の実施計画の作成も並行して進められます。

人材派遣の会社設立では、これらを登記と並行して進めてください。登記が終わってから考え始めるのでは、許可申請までの期間が延びます。

そして、これらの様式は社会保険労務士に相談しながら作るのが確実です。その費用も、会社設立の予算に入れておいてください。

さらに、会社設立の段階では事業年度も決めます。労働者派遣事業では、決算のあとに事業報告書の提出と情報提供の更新が来ます。事務が集中する時期を選べるということでもあります。

そして、資本金の額も会社設立のときに決めます。資産要件を満たす額に、会社設立の費用と許可申請の費用と許可までの固定費を足した額が必要です。

準備は早いほうが楽です事業が始まってからでは、日々の業務に追われて様式づくりが後回しになります。人材派遣の会社設立の準備期間は、この作業に使える貴重な時間です。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

発注者にも説明しておく

発注者にも説明することを表したイラスト
相手にも、守る利益があります。

体制を作っても、発注者が協力しなければ守れません。

発注者の担当者が直接指示を出せば、経路は崩れます。だから、相手にも理解してもらう必要があります。

契約のときに、指揮命令の経路について説明しておいてください。なぜ責任者を通す必要があるのかを伝えます。

労働者派遣法第4条第3項は、労働者派遣の役務の提供を受ける者について、適用除外業務に従事させてはならないと定めています。発注者の側にも規定が及ぶということです。

そして、実態が労働者派遣であると判断されれば、発注者の側にも問題が生じます。無許可の事業者から労働者派遣を受けていたことになるからです。

この点を伝えれば、協力を得やすくなります。相手にとっても、守ることに利益があるからです。

人材派遣の会社設立では、この説明も営業の一部だと考えてください。制度を理解している会社は、信頼されます。

そして、説明できる会社は取引先からも選ばれます。制度を理解していない会社と組めば、発注者の側もリスクを負うからです。

労働者派遣なら説明が簡単です労働者派遣事業の許可を受けていれば、派遣先が指揮命令をすることは当然です。説明も簡単になります。人材派遣の会社設立で許可を取ることには、この分かりやすさという利点があります。

出典「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|偽装請負を防ぐ体制

偽装請負を防ぐ体制をまとめたイラスト
仕組みで守ってください。

偽装請負を防ぐ体制について、まとめます。

  1. 実態は放っておくと流れる。 現場は楽なほうに寄っていきます。
  2. 契約の型を作る。 指揮命令の経路を明記します。
  3. 指揮命令の経路を一本にする。 自社の責任者を必ず通します。
  4. 記録を残す。 指示、勤怠、配置、調達。様式を先に作ります。
  5. 定期的に確認する。 担当を決めなければ、確認は行われません。
  6. 労働者派遣として行うと決めたら早めに動く。 許可の準備には期間がかかります。
  7. 発注者にも説明する。 相手にも守る利益があります。

人材派遣の会社設立の段階で、契約の型と記録の様式を作っておいてください。あとから整えるより、はるかに楽です。

そして、労働者派遣事業の許可を受けて労働者派遣として行えば、この問題自体が起きません。それも一つの選択です。

この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料とe-Gov法令検索の条文により確認したものです。制度は改正されます。個別の事案の判断は所管の都道府県労働局が行います。契約や体制の設計は社会保険労務士や弁護士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。

出典労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

仕組みで守ってください

現場の運用は、放っておけば楽なほうに流れます。発注者が直接指示を出すほうが早いからです。仕組みで止めるしかありません。

人材派遣の会社設立の段階で、契約の型と記録の様式を作っておいてください。あとから整えるより、はるかに楽です。

個別の事案の判断は所管の都道府県労働局が行います。契約や体制の設計は社会保険労務士や弁護士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説です。

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