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人材派遣 合同会社 設立

合同会社で人材派遣を始めるときの登録免許税は、資本金2,000万円で14万円です

「合同会社は6万円」という説明を読んだ方へ

会社設立の記事を読むと、合同会社の登録免許税は6万円と書かれていることが多くあります。これは間違いではありませんが、資本金が小さい場合の話です。

人材派遣では、労働者派遣事業の許可の資産要件から資本金が2,000万円前後になります。この水準では、合同会社の登録免許税は14万円になります。

この記事では、資本金と登録免許税の関係を計算しながら確かめます。会社設立の費用を見積もるときの前提を、正しく置くための記事です。

登録免許税は、資本金の1000分の7で計算します

登録免許税の計算式を表したイラスト
「6万円」は最低額であって、固定額ではありません。

会社設立の登記にかかる登録免許税は、資本金の額を基準に計算します。国税庁の税額表によれば、次のようになっています。

設立登記の登録免許税(2026年8月27日時点、国税庁の税額表による)
会社の種類 計算式 最低額
株式会社の設立 資本金の額の1000分の7 15万円
合同会社の設立 資本金の額の1000分の7 6万円

計算した額が最低額に満たないときは、最低額が適用されます。

ここでよくある誤解が、「株式会社は15万円、合同会社は6万円」という覚え方です。これは正確には「最低でも15万円」「最低でも6万円」であって、資本金が大きくなれば計算式の額が適用されます。

計算してみます。資本金の額の1000分の7が最低額を超えるのは、次の水準です。

  • 株式会社:15万円 ÷ 0.007 = およそ2,143万円
  • 合同会社:6万円 ÷ 0.007 = およそ858万円

つまり、合同会社は資本金858万円あたりで最低額の6万円を超えます。それ以上は資本金に比例して増えていきます。

人材派遣ではこの水準を必ず超えます労働者派遣事業の許可の資産要件は、事業所1か所で基準資産額2,000万円以上・自己名義の現金預金1,500万円以上です。借入では基準資産額が増えないため、資本金として入れることになります。つまり、人材派遣の会社設立では資本金が858万円を大きく超えます。

出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年8月27日確認)

資本金2,000万円のときの、実際の金額

資本金2,000万円のときの登録免許税を表したイラスト
2,143万円を超えると、差はなくなります。

人材派遣の会社設立で想定される資本金の水準で、実際に計算してみます。

資本金の額ごとの設立登記の登録免許税を株式会社と合同会社で比べた折れ線グラフ

この図で見ていただきたいのは、右側です。資本金が2,143万円を超えると、株式会社も合同会社も同じ計算式になり、登録免許税は同額になります。差はなくなります。

人材派遣の会社設立では、資産要件から資本金が2,000万円前後になります。さらに、設立費用や事業所の初期費用の分だけ余裕を持たせると、2,200万円、2,300万円という額になることもあります。この水準では、株式会社と合同会社の登録免許税の差はほとんどありません。

資本金の額と登録免許税の差(2026年8月27日時点)
資本金 株式会社 合同会社
2,000万円 15万円 14万円 1万円
2,143万円 15万円 15万円 なし
2,500万円 17万5千円 17万5千円 なし
3,000万円 21万円 21万円 なし

計算例です。実際の額は法務局・司法書士にご確認ください。

つまり、人材派遣の会社設立で合同会社を選ぶことによる費用面の節約は、実質的に定款認証手数料の5万円が中心になります。

ここでもうひとつ確かめておきたいのが、許可申請の側の費用です。労働者派遣事業の許可には、収入印紙12万円と登録免許税9万円がかかります。事業所1か所なら合計21万円です。この金額は会社形態で変わりません。

会社設立の登記の登録免許税と、許可の登録免許税は別のものです。同じ名前ですが、根拠となる法令も金額の決まり方も違います。会社設立の登記は登録免許税法の別表第一により資本金を基準に計算し、許可のほうは登録免許税法第21条により許可1件あたり9万円と定められています。

出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年8月27日確認)

定款認証手数料の差が、実質的な差です

定款認証手数料の差を表したイラスト
実質的な差は、定款認証手数料の5万円が中心です。

合同会社を選ぶことによる費用面の利点は、定款の認証が不要であることに集約されます。

株式会社の定款は公証人の認証を受ける必要があり、手数料がかかります。日本公証人連合会の案内によれば、令和4年1月1日から適用されている金額は、資本金100万円未満が3万円、100万円以上300万円未満が4万円、それ以外が5万円です。

人材派遣の会社設立では資本金が2,000万円前後になるため、5万円が適用されます。合同会社ならこれが不要です。

株式会社
定款の認証が必要。資本金300万円以上で手数料5万円
合同会社
定款の認証は不要。手数料はかかりません
収入印紙
紙の定款にはどちらも4万円。電子定款なら不要です
令和6年12月からの軽減
一定の条件を満たす資本金100万円未満の株式会社は1万5,000円。人材派遣では該当しません
実質的な差
定款認証手数料5万円と、資本金2,000万円のときの登録免許税1万円。合計6万円ほど

この6万円という差をどう見るかが、会社形態を選ぶときの判断のひとつになります。

参考までに、人材派遣の会社設立では営業できない期間の固定費が月に数十万円かかります。事業所の家賃と役員報酬を合わせて月45万円なら、6万円は4日分ほどです。

電子定款を使うかどうか紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款であれば不要です。これは株式会社でも合同会社でも同じです。自分で電子定款を作るには準備が要るため、司法書士に依頼するかどうかの判断材料になります。

出典定款認証(日本公証人連合会) (日本公証人連合会/2026年8月27日確認)

会社設立の費用を、全体のなかで位置づける

費用を全体のなかで位置づけるイラスト
設立費用の差より、無収入期間の固定費のほうが10倍以上大きくなります。

会社設立の登記費用の差を、人材派遣の会社設立に必要な資金の全体のなかで位置づけてみます。

人材派遣の会社設立で用意する金額の内訳を示した棒グラフ

この図を見ると、会社形態で変わる部分の小ささが分かります。基準資産額2,000万円に対して、設立費用の差は6万円です。

そして注目していただきたいのが、上から二番目の行です。営業できない期間の固定費が、会社設立の法定費用の10倍以上になっています。人材派遣は許可が下りるまで営業できないため、この部分が重くなります。

費用を抑えたいのであれば、会社形態を変えるより、営業できない期間を短くするほうが効果があります。要件を先に確かめて書類の往復を減らせば、その分だけ固定費が減ります。

この記事の前提上の図は、事業所1か所、月45万円の固定費、5か月の無収入期間という前提を置いた例です。事業所の規模、役員報酬の額、営業開始までの期間が変われば結果も変わります。ご自身の事業計画の数字で計算してください。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

資本金を増やしたときの、合同会社の登録免許税

資本金を増やしたときの登録免許税を表したイラスト
合同会社が有利なのは、資本金2,143万円未満の範囲です。

合同会社では、資本金を増やすと登録免許税が比例して増えます。この点は、株式会社との違いとして押さえておいてください。

株式会社は資本金2,143万円あたりまで最低額の15万円で変わりません。つまり、資本金2,000万円から2,100万円に増やしても登録免許税は同じです。人材派遣の会社設立で資本金に余裕を持たせやすいのは、この構造のおかげでもあります。

合同会社では、資本金2,000万円が2,100万円になれば、登録免許税は14万円から14万7千円になります。7千円増えます。

資本金を増やしたときの登録免許税(2026年8月27日時点)
資本金 合同会社の登録免許税 株式会社の登録免許税
2,000万円 14万円 15万円(最低額)
2,100万円 14万7千円 15万円(最低額)
2,200万円 15万4千円 15万4千円
2,500万円 17万5千円 17万5千円

計算例です。実際の額は法務局・司法書士にご確認ください。

この表を見ると、資本金2,200万円を超えたあたりで合同会社のほうが高くなる場面はなく、両者が同額になることが分かります。合同会社が有利なのは、資本金2,143万円未満の範囲に限られます。

増資のときにも登録免許税がかかります会社設立のあとで資本金を増やす場合、増加した資本金の額の1000分の7で計算した登録免許税がかかります。3万円に満たないときは3万円です。これは株式会社でも合同会社でも同じです。人材派遣の会社設立では、資産要件を満たすために増資をすることがあるため、この費用も見込んでおいてください。

会社設立の段階で資本金に余裕を持たせておけば、増資そのものを避けられます。手続きの時間も費用も節約できるということです。

そして、増資には時間もかかります。合同会社であれば、社員が出資を追加するか、新たな社員を加入させる方法があり、いずれも定款の変更を伴います。株式会社であれば募集株式の発行の手続きです。どちらも数週間を見込んでおく必要があります。

人材派遣は許可が下りるまで営業できない事業です。増資のために許可申請が数週間遅れれば、その分だけ無収入期間が延びます。会社設立の段階で資本金を決めるとき、この点も考えに入れてください。

出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年8月27日確認)

毎年かかる費用は、会社形態でほとんど変わりません

毎年かかる費用を比べるイラスト
会社形態で差が出るのは、決算公告と重任登記の二つです。

会社設立のときの費用だけでなく、毎年かかる費用も比べておきます。

法人住民税の均等割は、資本金等の額と従業者数によって区分が決まります。会社形態ではありません。人材派遣では資産要件から資本金が2,000万円前後になるため、株式会社でも合同会社でも同じ区分に入ります。

法人住民税の均等割
資本金等の額と従業者数で決まります。会社形態は関係ありません。赤字でもかかります
決算・申告の費用
会社形態による差は小さく、事業の規模と依頼範囲で決まります
決算公告
株式会社には義務があります。官報に掲載する場合は掲載料がかかります
役員の重任登記
株式会社は任期満了のたびに必要です。合同会社は不要です
教育訓練の費用
人材派遣に固有の費用です。会社形態は関係ありません
情報提供の維持
マージン率などを事業年度ごとに更新します。会社形態は関係ありません

会社形態で差が出るのは、決算公告と役員の重任登記の二つです。どちらも合同会社のほうが軽くなります。

役員の重任登記は、株式会社で役員の任期が満了するたびに必要になります。登録免許税がかかり、司法書士に依頼すればその報酬も加わります。人材派遣の会社設立で長く事業を続ける前提なら、この差は積み重なります。

均等割は事業所ごとにかかります法人住民税の均等割は、事業所のある自治体ごとに発生します。人材派遣で事業所を複数持てば、その数だけ均等割がかかることになります。資産要件が事業所数を乗じた額になるのと同じ構造です。金額は自治体によって異なります。

なお、許可の更新にも手数料がかかります。労働者派遣事業の許可の有効期間は初めての許可が3年、一度更新を受けた場合は5年です。更新のたびに手数料が発生するということです。金額は所管の都道府県労働局にご確認ください。

出典地方税制度|法人住民税 (総務省/2026年8月27日確認)

費用の前提を、正しく置くために

費用の前提を確かめるイラスト
その記事がどういう前提で書かれているかを確かめてください。

この記事で伝えたかったのは、費用の計算には前提があるということです。

一般的な会社設立の記事は、資本金が小さい場合を前提に書かれていることが多くあります。資本金1円でも会社をつくれる、合同会社なら6万円で設立できる、といった説明です。

人材派遣では、この前提が成り立ちません。労働者派遣事業の許可の資産要件があるからです。

人材派遣の会社設立で前提が変わることを並べたチェックリスト

会社設立の費用を見積もるときは、その記事がどういう前提で書かれているかを確かめてください。人材派遣の会社設立では、前提が違うことがあります。

そして、いちばん確かなのは一次情報にあたることです。登録免許税は国税庁の税額表、定款認証手数料は日本公証人連合会の案内、許可の資産要件は厚生労働省の公表資料で確かめられます。

当サイトでも、記事に書いた金額には確認した日付と出典を添えています。制度は改正されるため、読まれる時点で古くなっている可能性があるからです。判断されるときは、必ずリンク先で最新の内容をご確認ください。

特に、許可の資産要件のように事業の成否を左右する数字は、複数の情報源で確かめる価値があります。厚生労働省の業務取扱要領と、所管の都道府県労働局の案内の両方を見ておくと安心です。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|合同会社の登録免許税

合同会社の登録免許税をまとめたイラスト
「6万円」は最低額であって、固定額ではありません。

合同会社で人材派遣の会社設立をする場合の登録免許税について、まとめます。

  1. 計算式は資本金の額の1000分の7。 株式会社は15万円、合同会社は6万円が最低額です。
  2. 合同会社は資本金858万円あたりで最低額を超える。 それ以上は資本金に比例して増えます。
  3. 資本金2,000万円なら14万円。 株式会社の15万円との差は1万円です。
  4. 資本金2,143万円を超えると同額。 両者に差はなくなります。
  5. 実質的な差は定款認証手数料の5万円。 合同会社は認証が不要です。
  6. 毎年の費用は会社形態でほとんど変わらない。 均等割は資本金等の額で決まります。
  7. 設立費用より資産要件のほうが重い。 基準資産額2,000万円に対して、差は6万円です。

人材派遣の会社設立では資本金が大きくなるため、合同会社の費用面の利点が一般的な会社設立より小さくなります。会社形態は、費用ではなく仕組みで選んでください。

この記事の金額は2026年8月27日時点で、国税庁・法務局・日本公証人連合会・厚生労働省・総務省の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。実際の額は法務局と司法書士へ、許可の資産要件については所管の都道府県労働局へ、税務の判断は税理士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年8月27日確認)

前提を正しく置いてください

会社設立の費用を調べるとき、一般的な記事の数字をそのまま使うと、人材派遣では前提がずれます。資本金1円や100万円を前提にした計算と、資本金2,000万円を前提にした計算では、結果が変わるからです。

この記事の数字は国税庁の税額表と法務局の案内にもとづいて計算したものですが、実際の額は法務局と司法書士にご確認ください。

許可の資産要件については所管の都道府県労働局へ、登記は司法書士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

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