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人材派遣会社 設立 方法

人材派遣会社の設立方法。自分で進める場合と、専門家に頼む場合の分かれ目

この記事は、進め方を選ぼうとしている方に向けています

人材派遣会社の設立方法を調べていて、自分でやるか専門家に頼むかを決めかねている方。

費用を抑えたい気持ちと、確実に許可を取りたい気持ちのあいだで迷っている方。

結論を先に言えば、会社設立の登記は自分でもできる、許可申請は相談したほうが早い、というのが多くの場合の答えになります。その理由を、作業の中身から説明します。

人材派遣会社の設立方法は、三つに分けて考える

会社設立の作業を三つに分けたイラスト
定型の作業と、判断の要る作業。分けて考えると選びやすくなります。

人材派遣会社の設立方法を考えるとき、作業を三つに分けると判断しやすくなります。それぞれ性質が違い、頼むべき相手も違うからです。

  • 会社設立の登記定款をつくり、資本金を払い込み、法務局に申請する作業。専門家に頼むなら司法書士です。
  • 労働者派遣事業の許可申請要件を満たしているかを確かめ、書類をそろえて労働局に出す作業。専門家に頼むなら社会保険労務士です。
  • 設立後の運用役員報酬、決算、社会保険、教育訓練の実施と記録。税理士と社会保険労務士の領域です。

この三つのなかで、いちばん定型的なのが一つ目の登記です。手順が決まっていて、書式もそろっています。会社設立の登記だけなら、時間をかければ自分でも進められます。

いちばん判断が要るのが二つ目の許可申請です。書類をそろえる作業自体は定型ですが、その前に「要件を満たしているか」という判断があります。ここは数字と実態の話なので、書式を埋めるだけでは終わりません。

そして三つ目の設立後の運用が、実は人材派遣でいちばん長く続きます。許可には有効期間があり、更新のたびに資産要件を確かめられます。教育訓練の記録は労働契約終了後3年間の保存が求められます。会社設立の方法を選ぶときは、ここまで見て決めるほうが後悔しません。

定型の作業と判断の要る作業を分けて比べた図

出典人材派遣・職業紹介を行う皆さまへ (厚生労働省/2026年8月27日確認)

自分で進める場合|会社設立の登記はできます

自分で登記の書類を作るイラスト
登記は定型作業です。時間をかければ自分でも進められます。

会社設立の登記は、自分で進めることができます。法務局のサイトには商業・法人登記の申請書様式が公開されており、記載例もあります。

株式会社の場合の手順を、もう一度短く並べます。

  1. 商号・本店・事業目的・資本金の額・事業年度・役員構成を決める
  2. 定款をつくり、公証役場で認証を受ける(合同会社は認証不要)
  3. 発起人の口座に資本金を払い込み、通帳の写しなどで証明する
  4. 設立登記申請書と添付書類をそろえ、法務局に提出する
  5. 登記完了後、登記事項証明書と印鑑証明書を取る

人材派遣の会社設立で自分でやる場合の注意点は二つです。事業目的に労働者派遣事業を行うことが読み取れる文言を入れること、そして資本金の額を許可の資産要件から逆算して決めることです。

会社設立の登記を自分でやる場合と頼む場合
自分でやる場合 司法書士に頼む場合
定款認証手数料と登録免許税だけ。株式会社で資本金2,000万円なら20万円程度 左記に司法書士報酬が加わります
電子定款にするには機器と環境が要ります 電子定款に対応していることが多く、収入印紙4万円が不要になります
書式の確認と作成に時間がかかります 作成と提出を任せられます
事業目的の文言は自分で判断します 許可を取る予定であることを伝えれば、文言も相談できます

司法書士報酬は事務所によって異なります。金額は必ず見積もりでご確認ください。

電子定款のこと紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款であれば不要です。自分で電子定款を作るには相応の準備が要るため、この4万円が司法書士報酬との比較材料になることがあります。

出典商業・法人登記の申請手続 (法務局/2026年8月27日確認)

自分で進める場合|許可申請でつまずきやすいところ

許可申請でつまずく場面を表したイラスト
難しいのは書式ではなく、要件を満たしているかの判断です。

労働者派遣事業の許可申請も、制度としては自分で行えます。様式は都道府県労働局のサイトからダウンロードできますし、記載例も公開されています。

難しいのは書式ではありません。要件を満たしているかどうかの判断です。人材派遣会社の設立方法を自分で調べて進める場合、次のようなところで迷いが出ます。

  • 繰延資産や営業権を除いた基準資産額が、いくらになるのか
  • 自分の事業所が「事業に使用し得る面積おおむね20平方メートル以上」に当たるのか
  • 自分の職歴が「成年に達した後3年以上の雇用管理の経験」に当たるのか
  • 就業規則の条文が、許可基準の求める内容を満たしているのか
  • 教育訓練計画が「キャリアアップに資する内容」と認められるのか

いずれも、書式を埋める前の段階の話です。そしてこれらは、労働局に相談すれば答えが得られる性質のものでもあります。都道府県労働局の需給調整事業担当部門は、申請前の相談を受け付けています。

自分でやるなら、労働局への相談を前提に組む人材派遣会社の設立方法として自力を選ぶなら、労働局に何度か足を運ぶことを前提にスケジュールを組んでください。会社設立の登記より前に一度、書類がそろった段階でもう一度。この二回で、多くの迷いは解けます。

逆に言えば、労働局に相談する時間が取れないのであれば、社会保険労務士に依頼するほうが結果として早く済みます。人材派遣は許可が下りるまで営業できないので、時間の遅れがそのまま費用になるからです。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

専門家に頼む場合|誰に何を頼むのか

専門家に依頼する場面を表したイラスト
許可を出すのは労働局です。専門家の役割は、往復を減らすことです。

人材派遣会社の設立方法として専門家に頼む場合、誰に何を頼めるのかを知っておくと選びやすくなります。士業にはそれぞれ法律で定められた業務範囲があるからです。

司法書士
会社設立の登記申請の代理。定款の作成支援、事業目的の文言の相談
社会保険労務士
労働者派遣事業の許可申請書類の作成・提出代行。就業規則の作成、労働保険・社会保険の手続き
税理士
税務署への届出、決算・申告、役員報酬や決算期についての税額の判断
公認会計士・監査法人
中間決算・月次決算による資産要件の確認が必要な場合の監査証明、合意された手続業務
行政書士
許認可申請書類の作成(労働者派遣事業の許可申請の取扱いは事務所により異なります)

このうち、労働者派遣事業の許可申請の書類作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。就業規則の作成や労働保険の手続きもあわせて頼めるため、人材派遣とは相性がよい組み合わせになります。

一方で、許可を出すのはあくまで都道府県労働局です。専門家に頼めば許可が下りやすくなるわけではありません。要件を満たしているかどうかがすべてで、専門家の役割は「満たしているかを早く正確に見極める」ことと「書類の往復を減らす」ことにあります。

費用の目安は、必ず見積もりで士業の報酬は自由化されており、事務所によって金額も範囲も違います。この記事で具体的な相場を示すことはしません。複数の事務所に、どこまでを含めた金額なのかを確かめたうえで比べてください。

出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

費用で比べるか、時間で比べるか

費用と時間を比べるイラスト
人材派遣では、遅れがそのまま費用になります。

自分でやるか頼むかを、費用だけで比べると自分でやるほうが安く見えます。ところが人材派遣の場合、もうひとつの物差しがあります。時間です。

人材派遣は、労働者派遣事業の許可が下りるまで営業ができません。会社設立から許可までの期間、家賃・役員報酬・通信費といった固定費だけが出ていきます。ここが、他業種の会社設立と決定的に違うところです。

費用と時間、資産の余裕で進め方を整理した4象限の図

目安として、事業所の家賃と役員報酬を合わせて月40万円かかっている会社なら、1か月の遅れは40万円の費用と同じです。専門家への報酬がこれを下回るなら、時間で見れば安いという計算になります。

この計算の前提家賃・役員報酬の額、事業所の規模、会社形態によって結果は変わります。あくまで考え方の例です。実際の判断は、ご自身の事業計画の数字で行ってください。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

会社設立の方法より、設立後の設計のほうが長く効く

設立後の設計が長く効くことを表したイラスト
設立は一度きり。更新は繰り返し来ます。

人材派遣会社の設立方法を調べていると、どうしても「どうやって作るか」に目が向きます。ただ、実際に経営を左右するのは設立後の設計のほうです。

労働者派遣事業の許可の有効期間は、初めて許可を受けた場合が3年、一度更新を受けた場合が5年です。更新の申請は有効期間が満了する日の3か月前までに行う必要があり、申請日の超過は認められません。そして更新の審査でも、資産要件は確かめられます。

つまり、会社設立のときに基準資産額2,000万円を用意して許可を取れても、その後の赤字で目減りすれば、3年後の更新でつまずくことがあります。

  • 役員報酬を高く設定すれば、その分だけ利益が減り、基準資産額の回復が遅れます
  • 派遣スタッフの社会保険料の事業主負担は、人数が増えるほど重くなります
  • 教育訓練は有給かつ無償で行うこととされており、その時間の人件費もかかります
  • 派遣料金の入金は給与の支払いより後になるため、運転資金が常に必要です

この四つは、会社設立の方法をどう選んでも変わりません。むしろ、設立の費用を数万円削ることより、役員報酬と社会保険をどう設計するかのほうが、金額としてはずっと大きくなります。

このサイトが設立後を重く見る理由当サイトが会社設立の作業そのものより設立後の設計を重く扱っているのは、人材派遣では許可の更新まで資産を維持し続ける必要があるからです。設立は一度きりですが、更新は繰り返し来ます。

出典労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 適正な運営の確保に関する措置に係る手続 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

すでに法人がある場合の設立方法

既存法人に追加するか新設するかを比べるイラスト
判断の分かれ目は、たいてい資産要件です。

すでに別の事業をしていて人材派遣に参入したい場合、方法は二つあります。既存の法人に事業目的を追加するか、新しく会社設立をするかです。

既存法人に追加する場合と、新しく会社設立する場合
既存の法人に追加 新しく会社設立
手続き 株主総会の特別決議と変更登記 定款の作成・認証と設立登記
費用 変更登記の登録免許税3万円 定款認証手数料と設立登記の登録免許税
資産要件 既存法人の決算書で判定されます 設立時の状況で判定されます
決算書 直近の事業年度の決算書がそのまま使えます 設立直後は決算書がないため、取扱いを労働局に確認します
リスクの切り分け 既存事業と同じ法人内で行います 別法人にすることで切り分けられます

どちらが適切かは、既存法人の財務状況と事業計画によって変わります。税理士・司法書士にご相談ください。

判断の分かれ目になりやすいのが資産要件です。既存法人の基準資産額がすでに2,000万円を超えていて、負債比率も満たすなら、事業目的を追加するほうが早く安く済みます。逆に既存法人の負債が大きい場合、新しく会社設立をしたほうが要件を満たしやすいことがあります。

ただし新設の場合、設立直後は決算書がありません。この場合の資産の見方については、所管の都道府県労働局に確認してください。会社設立の時期と決算期の決め方が、許可申請の時期に影響します。

既存事業と派遣を同じ法人でやる場合の注意労働者派遣事業の許可基準には、当該事業が専ら特定の者に労働者派遣の役務を提供することを目的として行われるものでないこと、という要件があります。グループ会社にだけ派遣する形を想定している場合は、この点を先に労働局に確認してください。

出典定款認証(日本公証人連合会) (日本公証人連合会/2026年8月27日確認)

まとめ|人材派遣会社の設立方法の選び方

人材派遣会社の設立方法の選び方をまとめたイラスト
要件を満たしているかどうかが、すべてです。

人材派遣会社の設立方法について、選び方をまとめます。

  1. 作業は三つに分ける。 会社設立の登記、労働者派遣事業の許可申請、設立後の運用。頼む相手が違います。
  2. 登記は自分でもできる。 法務局の様式が公開されています。注意点は事業目的の文言と資本金の額です。
  3. 許可申請は要件の判断が難しい。 書式ではなく、満たしているかどうかの見極めに手間がかかります。
  4. 労働局に相談できる。 会社設立の登記より前に、申請前の相談を受け付けています。
  5. 時間で比べる。 人材派遣は許可が下りるまで営業できません。遅れがそのまま固定費になります。
  6. 設立後の設計のほうが長く効く。 許可の更新のたびに資産要件を確かめられます。
  7. すでに法人があるなら、追加か新設かを資産要件から選ぶ。

どの方法を選んでも、許可を出すのは所管の都道府県労働局です。要件を満たしているかどうかがすべてで、専門家に頼めば通りやすくなるということはありません。

この記事の内容は2026年8月27日時点で確認したものです。制度は改正されます。許可の可否は所管の都道府県労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へ、登記は司法書士へ、役員報酬や決算期といった税額の判断は税理士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

出典人材派遣・職業紹介を行う皆さまへ (厚生労働省/2026年8月27日確認)

どちらを選んでも、確かめる場所は同じです

自分で進めても、専門家に頼んでも、労働者派遣事業の許可を出すのは所管の都道府県労働局です。専門家に頼めば許可が下りやすくなる、というものではありません。要件を満たしているかどうかが、すべてです。

専門家に頼む意味は、要件を満たしているかを早い段階で見極められること、書類の不備で往復する回数が減ることにあります。人材派遣は許可が下りるまで営業できない事業なので、この時間の節約には金額以上の意味があります。

許可の可否は労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へ、登記は司法書士へ、役員報酬や決算期の判断は税理士へ。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行ではありません。

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