許可の登録免許税9万円と収入印紙12万円。人材派遣の会社設立で二度かかる費用
許可申請の費用を確かめたい方へ
人材派遣の会社設立を進めていて、労働者派遣事業の許可申請にいくらかかるかを確かめたい方に向けた記事です。
許可申請の法定費用は、事業所1か所で21万円です。収入印紙12万円と登録免許税9万円の合計になります。
この登録免許税は、会社設立の登記にかかる登録免許税とは別のものです。同じ名前の税金が二度出てくるため、混同しやすいところです。
許可申請の法定費用は、二つあります

労働者派遣事業の許可申請にかかる法定費用は、二つあります。許可手数料としての収入印紙と、登録免許税です。
厚生労働省の資料は、それぞれについて次のように書いています。
| 区分 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 許可手数料(収入印紙) | 12万円+5万5千円×(労働者派遣事業を行う事業所数−1) | 労働者派遣法第54条、労働者派遣法施行令第9条 |
| 登録免許税 | 許可1件当たり9万円 | 登録免許税法第21条 |
収入印紙の消印後は、手数料は返却されません。登録免許税は日本銀行、日本銀行歳入代理店などに納付し、領収書を許可申請書に貼付します。
事業所1か所であれば、収入印紙12万円と登録免許税9万円で合計21万円です。
この二つは性質が違います。収入印紙は許可の申請そのものにかかる手数料で、事業所の数によって増えます。登録免許税は許可1件あたりの税金で、事業所が増えても変わりません。
許可は事業主単位(会社単位)で受けるものなので、登録免許税は1件分でよい、という整理になります。
人材派遣の会社設立を進めるとき、この21万円は許可申請の段階でまとめて必要になります。会社設立の登記の費用とは別のタイミングで出ていくため、資金の準備の時期も分けて考えてください。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立の登録免許税とは、別のものです

人材派遣の会社設立で混同しやすいのが、登録免許税という名前が二度出てくることです。
ひとつは会社設立の登記にかかる登録免許税、もうひとつは労働者派遣事業の許可にかかる登録免許税です。名前は同じですが、根拠となる法令も金額の決まり方も違います。

会社設立の登記にかかる登録免許税は、資本金の額によって変わります。人材派遣では資産要件から資本金が2,000万円前後になるため、株式会社なら15万円、合同会社なら14万円ほどです。
労働者派遣事業の許可にかかる登録免許税は、許可1件当たり9万円の定額です。資本金の額にも事業所の数にもよりません。
つまり、株式会社で人材派遣の会社設立をする場合、登録免許税だけで15万円+9万円=24万円がかかります。資金計画では、この二つを別々に計上してください。
出典No.7191 法人の設立等の登記にかかる登録免許税 (国税庁/2026年8月27日確認)
事業所を増やすと、収入印紙が増えます

許可手数料としての収入印紙は、事業所の数によって増えます。計算式は「12万円+5万5千円×(事業所数−1)」です。
| 事業所数 | 収入印紙 | 登録免許税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1か所 | 12万円 | 9万円 | 21万円 |
| 2か所 | 17万5千円 | 9万円 | 26万5千円 |
| 3か所 | 23万円 | 9万円 | 32万円 |
| 4か所 | 28万5千円 | 9万円 | 37万5千円 |
登録免許税は許可1件当たりなので、事業所が増えても変わりません。
この表を見ると、事業所を増やしても法定費用の増え方は緩やかであることが分かります。事業所2か所でも26万5千円です。
ところが、事業所を増やすことの本当の負担は、こちらではありません。資産要件のほうです。
基準資産額は2,000万円に事業所数を乗じた額以上、自己名義の現金・預金は1,500万円に事業所数を乗じた額以上が求められます。事業所2か所なら、基準資産額4,000万円・現金預金3,000万円です。
収入印紙が5万5千円増えることより、基準資産額が2,000万円増えることのほうが、はるかに大きな負担になります。人材派遣の会社設立で事業所1か所から始めるのが現実的なのは、このためです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立から許可までの法定費用を、通しで並べる

会社設立の登記から許可申請までの法定費用を、通しで並べます。株式会社・資本金2,000万円・事業所1か所という前提です。

合計でおよそ41万5千円です。合同会社を選べば、定款認証手数料5万円が不要になり、登録免許税も資本金2,000万円なら14万円になるため、6万円ほど安くなります。
この金額は、人材派遣の会社設立に必要な資金の全体から見れば小さな部分です。置いておく必要のある基準資産額2,000万円と比べれば、桁が二つ違います。
それでも、資金計画には正確に入れておいてください。とくに許可の登録免許税9万円は、一般的な会社設立の記事には出てこない項目です。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
収入印紙は、消印後は返却されません

収入印紙について、注意しておきたい点があります。
厚生労働省の資料は、収入印紙の消印後は、手数料は返却されませんのでご留意ください、としています。
つまり、申請を取り下げても手数料は戻ってきません。書類がそろい、要件を満たしていることを確かめてから申請してください。
労働局によっては、収入印紙を申請書に貼付せずに持参するよう案内していることもあります。窓口で書類を確認したうえで貼付する、という運用です。
事前に、所管の都道府県労働局の案内を確かめておいてください。貼付してから不備が見つかると、印紙が無駄になる可能性があります。
登録免許税についても、納付の手続きがあります。日本銀行、日本銀行歳入代理店(銀行等や郵便局)などに納付し、その領収書を許可申請書に貼付します。収入印紙を貼るだけでは済まないということです。
会社設立の登記では、登録免許税分の収入印紙を貼付した台紙を申請書に添えるのが通例です。許可申請では、納付した領収書を貼付します。手続きが違うので、混同しないようにしてください。
なお、厚生労働省の業務取扱要領には、登録免許税の納付不足額の通知や過誤納の通知に関する様式例も示されています。納付額を間違えた場合の手続きも用意されているということです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
更新のときにも、手数料がかかります

労働者派遣事業の許可には有効期間があります。初めて許可を受けた場合は3年、一度更新を受けた場合は5年です。
そして更新のときにも、手数料がかかります。厚生労働省の業務取扱要領には、許可有効期間更新手数料という区分が示されています。
具体的な金額は所管の都道府県労働局にご確認ください。更新の申請は有効期間が満了する日の3か月前までに行う必要があり、申請日の超過は認められません。
会社設立の資金計画では、この更新の費用も見込んでおいてください。3年後、そのあとは5年ごとに発生します。
あわせて、更新のときにも資産要件が確かめられます。基準資産額2,000万円・自己名義の現金預金1,500万円・負債比率7分の1以上(事業所1か所)という三つを、更新の時点でも満たしている必要があります。
更新の準備そのものにも手間がかかります。直近の決算書で資産要件を確かめ、3年間の教育訓練の実施状況を整理し、派遣元責任者講習を受け直す。これらを更新申請の3か月前までに済ませておく必要があります。
会社設立から3年は、思ったより早く来ます。許可証を受け取ったら、次の更新の時期を書き留めておいてください。
出典労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 適正な運営の確保に関する措置に係る手続 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
有料職業紹介事業もあわせて取る場合

人材派遣とあわせて人材紹介(有料職業紹介事業)も行う場合、そちらの許可も別に取ることになります。
労働者派遣事業と有料職業紹介事業は、別の制度です。根拠となる法律も、労働者派遣法と職業安定法で異なります。
したがって、許可申請の費用も別にかかります。有料職業紹介事業の許可申請にも、手数料と登録免許税があります。金額は所管の都道府県労働局にご確認ください。
あわせて、定款の事業目的にも両方を書いておく必要があります。「労働者派遣事業」と書いただけでは、有料職業紹介事業は読み取れません。
紹介予定派遣という形をとる場合も、労働者派遣事業の許可に加えて有料職業紹介事業の許可が必要になります。会社設立の段階でこの形を考えているなら、事業目的に両方を書いておいてください。
なお、有料職業紹介事業には職業紹介責任者という役職があり、その選任と講習の受講が求められます。労働者派遣事業の派遣元責任者とは別の制度です。両方の許可を取るなら、それぞれの要件を確かめておいてください。
人材派遣の会社設立で両方を視野に入れる場合、会社設立の段階で定款の事業目的に両方を書いておくと、あとから事業目的を追加する手間が省けます。変更登記には登録免許税3万円がかかります。
出典労働者派遣事業に係る法令・指針・疑義応答集・関連情報等 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
費用より重い、営業できない期間

最後に、法定費用を全体のなかで位置づけておきます。
会社設立から許可申請までの法定費用は、およそ41万5千円でした。これに対して、営業できない期間の固定費はどれくらいになるでしょうか。
人材派遣は、労働者派遣事業の許可が下りるまで営業ができません。厚生労働省は、許可申請を事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前までに行う必要があるとしています。会社設立の準備期間も含めれば、営業開始まで3〜4か月です。
そして許可が下りて営業を始めても、最初の入金までさらに1〜2か月かかります。合計で5〜6か月です。
この期間、事業所の家賃と役員報酬が出ていきます。月45万円としても、5か月で225万円になります。法定費用41万5千円の5倍以上です。
そして、この期間の固定費も置いておく基準資産額とは別に必要です。基準資産額2,000万円は会社に置いておくお金ですが、家賃や役員報酬は出ていくお金だからです。
人材派遣の会社設立で用意すべき資金は、資産要件の2,000万円に、法定費用と開業準備の費用、そして営業できない期間の固定費を加えた額になります。法定費用21万円だけを見て資金計画を立てると、大きくずれます。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
まとめ|許可申請の費用

労働者派遣事業の許可申請にかかる費用について、まとめます。
- 収入印紙12万円+5万5千円×(事業所数−1)。 労働者派遣法第54条、施行令第9条による許可手数料です。
- 登録免許税は許可1件当たり9万円。 登録免許税法第21条によります。事業所が増えても変わりません。
- 事業所1か所なら合計21万円。 2か所なら26万5千円です。
- 会社設立の登記の登録免許税とは別。 名前は同じでも、根拠となる法令も金額の決まり方も違います。
- 会社設立から許可申請までの法定費用は、およそ41万5千円。 株式会社・資本金2,000万円・事業所1か所・電子定款の場合です。
- 収入印紙は消印後に返却されません。 要件を満たしていることを確かめてから申請してください。
- 更新のときにも手数料がかかる。 3年後、そのあとは5年ごとです。
人材派遣の会社設立の資金計画では、登録免許税を二度計上してください。一般的な会社設立の記事には、登記の分しか出てきません。
この記事の金額は2026年8月27日時点で、厚生労働省・国税庁の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。費用の詳細は所管の都道府県労働局へ、登記の費用は司法書士へ、税務上の扱いは税理士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
二度かかることを、資金計画に入れてください
会社設立の登記で登録免許税が一度、労働者派遣事業の許可でもう一度。同じ名前ですが、根拠となる法令も金額の決まり方も違います。
人材派遣の会社設立の資金計画を立てるとき、この二つを別々に計上してください。一度分だけを見積もっていると、あとで足りなくなります。
費用の詳細は所管の都道府県労働局へ、登記の費用は司法書士へ、税務上の扱いは税理士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
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