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人材派遣 会社設立 社会保険

人材派遣の会社設立と社会保険。加入は義務であり、許可の判断材料でもあります

社会保険の負担を知りたい方へ

人材派遣の会社設立を考えていて、社会保険と労働保険の負担を知りたい方に向けた記事です。

人材派遣では、この加入が単なる法令上の義務にとどまりません。労働者派遣事業の許可基準に、派遣スタッフの適正な加入が含まれているからです。

つまり、保険料を抑えるために加入させないという選択はできません。会社設立の収支計画に、最初から入れておいてください。

加入は、許可の判断材料でもあります

社会保険の加入が許可の判断材料であることを表したイラスト
加入させないという選択は、人材派遣にはありません。

人材派遣における社会保険と労働保険は、単なる法令上の義務にとどまりません。労働者派遣事業の許可の判断材料でもあります。

厚生労働省の許可基準は、派遣元事業主に関する判断として次の内容を挙げています。労働保険、社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うものであること。

つまり、保険料を抑えるために加入させない、という選択は人材派遣にはありません。加入させないことは、許可の判断に直接影響します。

そして、許可申請の書類にもこの点が現れます。労働者派遣事業計画書の様式第3号-3は、派遣労働者のうち雇用保険または健康保険・厚生年金保険の未加入者がいる場合にのみ提出するものとされています。

未加入者がいることを前提にした様式が用意されているということは、その状況が確認の対象になっているということです。

会社設立の段階から見込んでおく人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、派遣スタッフの賃金だけでなく、社会保険料の事業主負担も見込んでおいてください。加入が前提である以上、この費用は必ず発生します。

一般的な会社設立であれば、社会保険は法令上の義務として扱われます。守るべきものではありますが、事業の許認可とは直接つながりません。人材派遣では、この二つがつながっています。

会社設立の段階でこの点を理解しておくと、収支計画の立て方が変わります。事業主負担を織り込んだうえで、派遣料金の水準を考えることになるからです。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

会社設立の直後に来る、保険の手続き

会社設立後の保険の手続きを表したイラスト
法人は、代表者一人でも適用事業所になります。

会社設立の登記が完了すると、保険関係の手続きが始まります。窓口は三つです。

会社設立後の保険関係の届出
窓口 届出 内容
年金事務所 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 法人は原則として適用事業所になります
年金事務所 被保険者資格取得届 被保険者となる人ごとに提出します
年金事務所 被扶養者(異動)届 被扶養者がいる場合に提出します
労働基準監督署 保険関係成立届 労働者を雇用したときに提出します
労働基準監督署 概算保険料申告書 労働保険料の申告と納付
ハローワーク 雇用保険 適用事業所設置届 雇用保険の被保険者となる労働者を雇用したときに
ハローワーク 雇用保険 被保険者資格取得届 被保険者となる人ごとに提出します

提出期限は届出ごとに定められています。詳細は日本年金機構・厚生労働省の案内、または社会保険労務士にご確認ください。

一つ目に注目してください。法人は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。代表者一人であっても、役員報酬を出すのであれば加入の手続きが必要です。

人材派遣の会社設立では、この手続きを許可申請の準備と並行して進めることになります。会社設立の直後は、やることが一度に来ます。

誰が担当するかを決めておく会社設立の直後には、保険の手続き、税務の届出、許可申請の準備が同時に来ます。誰がどれを担当するのかを先に決めておくと、抜けが減ります。社会保険労務士に依頼するという方法もあります。

出典新規適用の手続き (日本年金機構/2026年8月27日確認)

派遣スタッフの加入条件

派遣スタッフの加入条件を表したイラスト
条件を満たす人については、加入させることになります。

派遣スタッフを雇用したとき、社会保険と労働保険に加入させることになります。ただし、加入の条件はそれぞれ異なります。

健康保険・厚生年金保険
労働時間や雇用の見込みなどの条件があります。詳しくは日本年金機構の案内でご確認ください
雇用保険
1週間の所定労働時間や雇用の見込みなどの条件があります
労災保険
労働者を一人でも雇用すれば、事業として成立します。保険料は事業主が全額負担します
条件の詳細
制度改正で変わることがあります。最新の内容は各機関の公表資料でご確認ください

この記事では、具体的な条件の数字を示しません。制度改正で変わることがあり、読まれる時点で古くなっている可能性があるためです。

人材派遣で押さえておきたいのは、条件を満たす派遣スタッフについては加入させる必要があるということです。そして、それが許可の判断材料でもあるということです。

会社設立の段階で事業計画を作るとき、どういう働き方の派遣スタッフを雇うのかによって、加入の範囲が変わります。フルタイムに近い働き方であれば、多くが加入の対象になります。

加入させないことは、許可の判断に影響します厚生労働省の許可基準は、労働保険、社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うものであることを求めています。条件を満たす人を加入させていなければ、許可の判断に影響します。

そして、加入の条件を満たすかどうかは働き方によって変わります。短時間の勤務であれば条件を満たさないこともありますが、その場合でも判断は制度に従うことになります。会社が選べるものではありません。

人材派遣の会社設立で事業計画を作るとき、どういう働き方の派遣スタッフを何人雇うのかを決めます。その時点で、社会保険料の負担もおおよそ決まってきます。

出典1-1:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき (日本年金機構/2026年8月27日確認)

事業主の負担は、賃金に比例します

事業主の負担が賃金に比例することを表したイラスト
賃金を上げると、事業主負担も同時に増えます。

社会保険と労働保険の保険料には、事業主が負担する部分があります。

  • 健康保険:労使で折半します
  • 厚生年金保険:労使で折半します
  • 子ども・子育て拠出金:事業主が全額を負担します
  • 雇用保険:事業主と労働者がそれぞれ負担します。負担割合は異なります
  • 労災保険:事業主が全額を負担します

この負担は賃金に比例します。派遣スタッフの賃金を上げれば、事業主負担も同時に増えます。

人材派遣では、この点が収支に直接効いてきます。派遣料金から派遣スタッフの賃金を引いた部分がマージンですが、そこから事業主負担が引かれるからです。

そして、派遣料金を据え置いたまま賃金だけを上げれば、マージンは二重に圧迫されます。賃金が増え、事業主負担も増えるからです。

保険料率は毎年見直されます健康保険の保険料率は都道府県ごとに定められ、年度によって改定されます。厚生年金保険料率、雇用保険料率、労災保険率も同様です。この記事では特定の率を示しません。最新の料率は協会けんぽ・日本年金機構・厚生労働省の公表資料でご確認ください。

会社設立の収支計画では、賃金の総額に対して一定の割合が事業主負担として乗る、という形で計算してください。人数が増えれば、この負担も比例して増えます。

出典全国健康保険協会(協会けんぽ) (全国健康保険協会/2026年8月27日確認)

同一労働同一賃金が、賃金水準に効いてきます

同一労働同一賃金が賃金水準に効くことを表したイラスト
賃金を低く設定して負担を抑える、という方法は取れません。

派遣スタッフの賃金は、会社が自由に決められる部分が限られています。同一労働同一賃金への対応があるからです。

派遣元事業主は、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式のいずれかによって、派遣労働者の待遇を確保することとされています。

労使協定方式を選ぶ場合、賃金は同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上でなければならないとされています。その水準は、厚生労働省職業安定局長の通達で示されます。

つまり、賃金を低く設定して事業主負担を抑える、という方法は取れないということです。

人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、この点を前提にしてください。賃金の水準がある程度決まってくるため、そこから事業主負担も決まってきます。

方式の選択は会社設立の段階から考える派遣先均等・均衡方式と労使協定方式のどちらを選ぶかで、賃金の決め方が変わります。人件費の設計そのものが変わるということです。会社設立の段階で、どちらを選ぶかを考えておいてください。

詳しくは、同一労働同一賃金についてのカテゴリーの記事をご覧ください。この記事では、賃金水準が事業主負担にも効いてくるという点にとどめます。

人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、賃金と事業主負担はセットで動くと考えてください。片方だけを抑えることはできません。

出典派遣労働者の同一労働同一賃金について (厚生労働省/2026年8月27日確認)

役員の社会保険も、会社設立の段階から

役員の社会保険を表したイラスト
法人は、代表者一人でも適用事業所になります。

派遣スタッフだけでなく、役員の社会保険も考える必要があります。

法人は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。代表者一人の会社であっても、役員報酬を出すのであれば加入の手続きが必要です。

そして、保険料は役員報酬の額に応じて決まります。標準報酬月額という区分で計算されます。

人材派遣の会社設立では、役員報酬の設計に三つの軸が入ります。法人税と所得税のバランス、社会保険料の負担、そして許可の更新に向けた基準資産額の維持です。

役員報酬を高く設定すれば、社会保険料の負担が増え、法人の利益も減ります。利益が減れば、基準資産額の積み上がりが遅くなります。

役員報酬は原則として動かせません定期同額給与は毎月同額であることが原則で、改定できるのは事業年度開始の日から3か月を経過する日までとされています。この時期を逃すと、その事業年度のあいだは動かせません。人材派遣の会社設立では、この期限までに資産の見通しも含めて決める必要があります。

この設計は税理士と相談しながら進めてください。税額の判断は税理士の業務です。

会社設立の初年度は、事業の見通しが立ちません。人材派遣では労働者派遣事業の許可が下りるまで売上がゼロなので、なおさらです。初年度の役員報酬を抑えめにして、事業が回り始めてから調整するという考え方もあります。

出典新規適用の手続き (日本年金機構/2026年8月27日確認)

事務の負担も、人数に比例します

社会保険の事務の負担を表したイラスト
人材派遣は、入れ替わりのたびに手続きが発生します。

社会保険と労働保険は、費用だけでなく事務の負担も伴います。

派遣スタッフを採用するたびに資格取得届が、退職するたびに資格喪失届が必要になります。そして毎年、算定基礎届という手続きもあります。

社会保険の事務が発生する件数を人数別に示した積み上げ棒グラフ

人材派遣は、派遣スタッフの入れ替わりが起こりやすい事業です。そのたびに手続きが発生します。

この事務を誰が担うのかも、会社設立の段階で決めておいてください。自分でやるのか、社会保険労務士に依頼するのか。

外に出しても責任は残ります給与計算や社会保険の手続きは社会保険労務士に依頼できます。ただし、適正に加入させる責任は派遣元事業主にあります。手続きを外に出しても、許可基準上の責任がなくなるわけではありません。

会社設立の収支計画では、この事務にかかる費用も見込んでおいてください。社会保険労務士に依頼する場合、人数に応じて報酬が上がることが一般的です。

この事務を自分でやる場合、その時間も費用として考えてください。営業や採用に使えたはずの時間だからです。人材派遣の会社設立で一人に近い体制を考えている場合、この点はとくに重要になります。

そして、給与計算も毎月発生します。派遣スタッフの勤怠を集計し、賃金を計算し、社会保険料と所得税を控除して支払う。この作業も人数に比例します。

出典1-1:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき (日本年金機構/2026年8月27日確認)

加入していないと、どうなるか

未加入の場合のリスクを表したイラスト
法令違反であり、許可の判断にも影響します。

条件を満たす派遣スタッフを加入させていない場合、どうなるかを整理します。

まず、法令上の問題があります。適用基準を満たす労働者を加入させないことは、それ自体が法令違反です。

そして、労働者派遣事業の許可の判断にも影響します。厚生労働省の許可基準は、派遣元事業主について「労働保険、社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うものであること」を求めているからです。

新規の許可申請であれば、この点が確認されます。更新のときにも同じです。

さらに、労働局には指導・監督の権限があります。違反があれば改善命令、事業停止命令、そして許可の取消に至ることがあります。

様式第3号-3の存在労働者派遣事業計画書の様式第3号-3は、派遣労働者のうち雇用保険または健康保険・厚生年金保険の未加入者がいる場合にのみ提出するものとされています。未加入者がいることが把握される仕組みになっているということです。

人材派遣の会社設立では、この加入を前提に収支計画を立ててください。保険料を抑えるために加入させないという方法は、成り立ちません。

そして、これは派遣スタッフにとっての安心にもつながります。人材派遣は人を集める事業です。社会保険にきちんと加入させている会社であることは、採用の面でも意味を持ちます。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|人材派遣の会社設立と社会保険

人材派遣の会社設立と社会保険をまとめたイラスト
加入は前提。負担は最初から計画に入れてください。

人材派遣の会社設立における社会保険と労働保険について、まとめます。

  1. 加入は許可の判断材料でもある。 許可基準に、適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入が含まれています。
  2. 会社設立の直後に手続きが来る。 年金事務所、労働基準監督署、ハローワークの三つの窓口へ。
  3. 法人は代表者一人でも適用事業所になる。 役員報酬を出すのであれば加入の手続きが必要です。
  4. 事業主負担は賃金に比例する。 賃金を上げれば、負担も同時に増えます。
  5. 賃金は自由に決められない。 同一労働同一賃金への対応があります。
  6. 事務の負担も人数に比例する。 採用・退職のたびに手続きが発生します。
  7. 加入させないことは許可の判断に影響する。 未加入者がいることが把握される仕組みになっています。

人材派遣の会社設立では、この加入を前提に収支計画を立ててください。保険料を抑えるために加入させないという方法は、成り立ちません。

この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省・日本年金機構の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。保険料率と手続きの詳細は日本年金機構・協会けんぽ・厚生労働省の公表資料で、実務の手続きは社会保険労務士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

出典新規適用の手続き (日本年金機構/2026年8月27日確認)

加入は前提です。負担は計画に入れてください

派遣スタッフの社会保険・労働保険への適正な加入は、労働者派遣事業の許可基準に含まれています。加入させないという選択はできません。

そして、この負担は賃金に比例します。派遣スタッフが増えれば、事業主負担も比例して増えます。会社設立の収支計画に、最初から入れておいてください。

保険料率と手続きは日本年金機構・協会けんぽ・厚生労働省の公表資料で、実務の手続きは社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

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