本文へ移動する

派遣元責任者 講習

派遣元責任者になれる人の要件。3年以上の雇用管理の経験とは何を指すか

自分が要件を満たすか確かめたい方へ

人材派遣の会社設立を考えていて、自分が派遣元責任者になれるのかを確かめたい方に向けた記事です。

いちばん判断が難しいのが、成年に達した後3年以上の雇用管理の経験という要件です。この経験が何を指すのかを、厚生労働省の許可基準から読み解きます。

最終的な判断は所管の都道府県労働局が行います。この記事は、相談に行く前の下調べとして使ってください。

派遣元責任者の要件は、いくつもあります

派遣元責任者の要件の一覧を表したイラスト
いちばん判断が難しいのが、経験の要件です。

派遣元責任者になれる人の要件は、厚生労働省の許可基準に細かく定められています。まず全体を並べます。

派遣元責任者の要件(2026年8月27日時点、厚生労働省の許可基準による)
要件 内容
未成年者でないこと 労働者派遣法第36条による
欠格事由に該当しないこと 労働者派遣法第6条第1号から第8号までに掲げるもの
選任の手続き 施行規則第29条で定める要件、手続に従って選任されていること
生活根拠 住所及び居所が一定しない等、生活根拠が不安定な者でないこと
健康状態 適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること
拘束のおそれ 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること
公衆衛生・公衆道徳 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること
名義貸しでないこと 派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと
経験 成年に達した後3年以上の雇用管理の経験など
講習 許可の申請の受理の日前3年以内に派遣元責任者講習を受講した者であること
外国人の場合 原則として、入管法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること
派遣の範囲 苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること

このほかに、派遣元責任者が不在の場合の臨時の職務代行者があらかじめ選任されていることも求められます。

このなかで、いちばん判断が難しいのが九つ目の経験です。他の要件は該当するかどうかがはっきりしますが、経験は事実の評価だからです。

人材派遣の会社設立を考えるとき、この経験の要件を満たすかどうかが最初の分かれ目になります。資金は貯めれば用意できますが、経験は貯められないからです。

この記事で扱うことこの記事では、九つ目の経験の要件を中心に扱います。他の要件についても触れますが、詳しくは各カテゴリーの記事や厚生労働省の公表資料でご確認ください。

なお、これらの要件は許可を受けたあとも続きます。派遣元責任者が交代した場合、新しい責任者も同じ要件を満たしている必要があります。人材派遣の会社設立で人の体制を考えるとき、この点も見ておいてください。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

経験の要件は、四つのうちいずれか

経験の要件の四つの選択肢を表したイラスト
多くの方が検討するのは、一つ目の雇用管理の経験です。

経験の要件は、次の四つのうちいずれかに該当することとされています。

  1. 成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
  2. 成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
  3. 成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
  4. 成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者

二つ目から四つ目は、該当する人が限られます。職業安定行政や労働基準行政に携わった経験、民営職業紹介事業や労働者供給事業の従事者としての経験です。

多くの方が該当を検討するのは、一つ目の「雇用管理の経験」です。この記事でも、ここを中心に見ていきます。

そして、四つとも「成年に達した後」という条件がついています。未成年のうちの経験は数えられません。

また、3年以上という期間は、連続している必要があるのかという疑問が出てきます。この点も含めて、所管の都道府県労働局にご確認ください。

会社設立の前に確かめてください経験の要件を満たさなければ、その人は派遣元責任者になれません。人材派遣の会社設立を進めてから分かると、要件を満たす人を採用するか、共同で会社設立をするかという選択になります。会社設立の登記より前に確かめておいてください。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

「雇用管理の経験」とは何を指すのか

雇用管理の経験の定義を表したイラスト
人事や労務の専任担当でなくても、含まれる場合があります。

では、「雇用管理の経験」とは何を指すのか。厚生労働省の許可基準に説明があります。

人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者であったことをいう。

— 厚生労働省|労働者派遣事業関係業務取扱要領(許可基準)

この説明から読み取れることを整理します。

  • 人事の担当者としての経験
  • 労務の担当者としての経験
  • 事業主であった経験(法人の場合はその役員)
  • 支店長、工場長その他事業所の長であった経験
  • 労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」であった経験
  • 労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者であった経験

三つ目と四つ目に注目してください。人事や労務の専任担当でなくても、事業主や役員、事業所の長であった経験は含まれるとされています。

五つ目の「監督若しくは管理の地位にある者」は、いわゆる管理監督者のことです。労働基準法第41条第2号に定めがあります。

肩書きだけでは判断されません「監督若しくは管理の地位にある者」に当たるかどうかは、肩書きではなく実態で判断されます。労働基準法上の管理監督者の判断も同じです。ご自身の経験がこれに当たるかどうかは、所管の都道府県労働局にご確認ください。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

よくある職歴が、当たるかどうか

職歴が当たるかどうかを判断するイラスト
肩書きだけでなく、実際に何をしていたかで評価されます。

よくある職歴について、どう考えられるかを整理します。ただし、これは判断の材料であって、結論ではありません。最終的な判断は所管の都道府県労働局が行います。

職歴と、雇用管理の経験としての評価(判断の材料)
職歴 考えられる評価
人事部で採用や労務を担当していた 雇用管理の経験に当たると考えられます
会社の役員だった 事業主(法人の場合はその役員)として、含まれるとされています
支店長・店長として店舗を任されていた 事業所の長として、含まれる場合があります。実態によります
営業職として部下をまとめていた 監督若しくは管理の地位にある者に当たるかで判断が分かれます
派遣会社で登録者の労務を担当していた 労働者派遣事業における労務の担当者として、含まれるとされています
一般の従業員として働いていた 雇用管理の経験には当たらないと考えられます

※ この表は判断の材料であって、結論ではありません。最終的な判断は所管の都道府県労働局が行います。

三つ目と四つ目が、判断の分かれるところです。肩書きだけでなく、実際に何をしていたかで評価されます。

店長として採用の面接をし、シフトを組み、勤怠を管理していたのであれば、雇用管理の経験と評価される可能性があります。一方、肩書きはあっても実態が伴わなければ、判断は変わります。

ご自身の職歴がどう評価されるかは、履歴書を持って所管の都道府県労働局に相談するのが確実です。会社設立の登記より前に相談できます。

履歴書は許可申請の添付書類でもあります派遣元責任者の履歴書は、労働者派遣事業の許可申請の添付書類になります。相談に行くときも、この履歴書を持っていけば具体的な話ができます。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

要件を満たさない場合の選択肢

要件を満たさない場合の選択肢を表したイラスト
名義だけを借りる形は、明確に否定されています。

自分が経験の要件を満たさないと分かった場合、選択肢は限られます。

  1. 要件を満たす人を採用する。 3年以上の雇用管理の経験を持つ人を雇い、派遣元責任者に選任します。人件費がかかります。
  2. 要件を満たす人と共同で会社設立をする。 その人を役員として迎え、派遣元責任者にします。持分や株式の分配を決めることになります。
  3. 経験を積んでから会社設立をする。 人事・労務の担当者として経験を積み、要件を満たしてから進めます。時間はかかりますが、確実です。

三つ目を選ぶ場合、その間に資金を貯めることもできます。人材派遣の会社設立には基準資産額2,000万円という資産要件があるので、時間をかけることには意味があります。

そして、避けるべき選択肢があります。要件を満たす人に名前だけを借りる、という形です。

名義貸しは明確に否定されています厚生労働省の許可基準は「派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと」を要件に挙げています。実際に雇用管理を行う人が派遣元責任者になる。これが制度の前提です。

急いで会社設立をしても、要件を満たさなければ許可は下りません。法人住民税の均等割や決算・申告の費用だけがかかることになります。順番を守るほうが、結局は安く済みます。

出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

職務代行者にも、確認が必要です

職務代行者の選任を表したイラスト
派遣元責任者本人が兼ねることはできません。

派遣元責任者を決めたら、職務代行者も決める必要があります。

厚生労働省の許可基準は「派遣元責任者が不在の場合の臨時の職務代行者があらかじめ選任されていること」を求めています。

あらかじめ、という点が重要です。許可申請の時点で決まっている必要があります。

そして、派遣元責任者本人が職務代行者を兼ねることはできません。不在のときの代わりだからです。つまり、人材派遣の会社設立では最低二人が必要になります。

職務代行者に求められる具体的な要件については、所管の都道府県労働局にご確認ください。派遣元責任者と同じ経験の要件や講習の受講が必要かどうかは、確かめておく価値があります。

一人で会社設立をする場合の課題一人で人材派遣の会社設立をしようとする場合、この職務代行者をどう確保するかが最初の課題になります。従業員を雇う、役員をもう一人置く、共同で会社設立をする。いずれも人件費や持分の分配が発生します。会社設立の資金計画に入れておいてください。

事業所を増やす場合は、事業所ごとに派遣元責任者を選任することになります。あわせて職務代行者も必要です。事業所を増やすということは、人も増やすということです。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

外国籍の方が派遣元責任者になる場合

外国籍の方の在留資格の要件を表したイラスト
在留資格の内容によっては、要件を満たさないことがあります。

外国籍の方が派遣元責任者になる場合、在留資格についての要件があります。

厚生労働省の許可基準は、派遣元責任者について次のように定めています。外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。

あわせて、派遣元事業主についても在留資格の要件があります。原則として、入管法別表第一の二の表の「高度専門職第一号ハ」「高度専門職第二号ハ」及び「経営・管理」若しくは別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者、又は資格外活動の許可を受けて派遣元事業主としての活動を行う者であること、とされています。

なお、海外に在留する派遣元事業主については、この限りではないとされています。

在留資格の内容によっては、要件を満たさないことがあります。人材派遣の会社設立で外国籍の方が役員や派遣元責任者になる場合、この点を確かめておいてください。

在留資格の確認は出入国在留管理庁へ在留資格の内容や、資格外活動の許可については、出入国在留管理庁の案内でご確認ください。労働者派遣事業の許可の要件としてどう扱われるかは、所管の都道府県労働局にご相談ください。

会社設立の段階でこの点が問題になりそうな場合、登記より前に確かめておいてください。役員の構成を変えるには変更登記が必要になり、費用と時間がかかります。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

会社設立の前に、確かめる順番

会社設立の前に確かめる順番を表したイラスト
いちばん動かしにくいのは、経験の要件です。

人材派遣の会社設立の前に、派遣元責任者について確かめる順番を整理します。

会社設立の前に確かめることのチェックリスト

この順番で大事なのは、いちばん上です。経験の要件を満たさなければ、他をどれだけ整えても派遣元責任者にはなれません。

そして、この要件は時間をかけないと満たせません。資金であれば貯めることができますが、経験は積むしかないからです。

人材派遣の会社設立を考えはじめた段階で、まずここを確かめてください。履歴書を持って所管の都道府県労働局に相談するのが確実です。

相談は会社設立の登記より前にできます所管の都道府県労働局の需給調整事業担当部門は、申請前の相談を受け付けています。会社設立の登記より前に、履歴書と事業計画の概要を持って相談に行けます。相談は無料です。

出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)

まとめ|派遣元責任者になれる人

派遣元責任者になれる人をまとめたイラスト
経験の要件は、時間をかけないと満たせません。

派遣元責任者になれる人の要件について、まとめます。

  1. 要件はいくつもある。 未成年者でないこと、欠格事由に該当しないこと、健康状態、講習の受講など。
  2. 経験の要件が中心。 成年に達した後3年以上の雇用管理の経験など、四つのうちいずれか。
  3. 雇用管理の経験には幅がある。 人事・労務の担当者だけでなく、事業主や役員、事業所の長も含まれるとされています。
  4. 肩書きではなく実態で判断される。 監督若しくは管理の地位にある者に当たるかどうかも同じです。
  5. 満たさない場合は三つの選択肢。 採用する、共同で会社設立をする、経験を積んでから。
  6. 名義貸しは明確に否定されている。 実際に雇用管理を行う人が責任者になります。
  7. 職務代行者も必要。 派遣元責任者本人は兼ねられません。最低二人が要ります。

自分の職歴が要件に当たるかどうかは、事実の評価の問題です。履歴書を持って所管の都道府県労働局に相談してください。会社設立の登記より前に相談できます。

この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。要件の判断は所管の都道府県労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)

履歴書を持って、相談に行ってください

自分の職歴が3年以上の雇用管理の経験にあたるかどうかは、事実の評価の問題です。書類の書き方ではなく、実際に何をしていたかで判断されます。

ご自身で判断するより、履歴書を持って所管の都道府県労働局に相談するほうが確実です。会社設立の登記より前に相談できます。

要件の判断は所管の都道府県労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。

この記事は判断の材料になりましたか?

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

掲載順は優劣を示すものではありません。並び順にご注意ください。内容・料金・条件は各サイトの提供者が随時変更します。ご覧になる時点の最新情報は、必ずそれぞれの公式ページでご確認ください。

あわせて読みたい記事

同じテーマで、判断の材料になる記事です