人材派遣の会社設立にかかる費用を、時系列で並べて資金計画にする
資金の準備の時期を知りたい方へ
人材派遣の会社設立にかかるお金を、いつ用意すればよいかを知りたい方に向けた記事です。
費用の総額を並べた記事は多くありますが、いつ出ていくかまで書かれているものは少なくなります。この記事では時系列で並べます。
まとまって出ていく時期が分かれば、資金の準備も具体的になります。金額はすべて前提条件つきで書きます。
お金が出ていく時期は、四つに分かれます

人材派遣の会社設立でお金が出ていく時期は、大きく四つに分かれます。
- 会社設立の登記のとき定款の認証手数料と登録免許税。株式会社で資本金2,000万円なら20万円ほど。
- 事業所を借りるとき敷金・礼金・仲介手数料・前家賃。物件により大きく変わります。
- 許可申請のとき収入印紙12万円と登録免許税9万円。事業所1か所なら21万円。
- 毎月家賃、役員報酬、通信費。営業できない期間も出ていきます。
このうち、まとまって出ていくのは一つ目から三つ目です。四つ目は毎月少しずつですが、期間が長いため合計は大きくなります。
そして、これらとは別に、基準資産額2,000万円・自己名義の現金預金1,500万円(事業所1か所)という資産要件があります。こちらは置いておくお金なので、出ていくわけではありません。
ただし、置いておく必要があるということは、他の用途に使えないということでもあります。会社設立の資金計画では、この二つを分けて数えてください。
人材派遣の会社設立で資金計画を立てるとき、総額だけを見ていると足りなくなることがあります。たとえば、資本金2,000万円をそろえたつもりでも、そこから設立費用と事業所の初期費用を払えば、許可申請の時点で基準資産額を割り込んでいるかもしれません。
だから、いつ何にいくら使うのかを並べておく必要があります。この記事はそのための整理です。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第1の山|会社設立の登記

最初にまとまって出ていくのが、会社設立の登記の費用です。
| 項目 | 金額 | 支払う時期 |
|---|---|---|
| 定款の認証手数料 | 5万円 | 公証役場での認証のとき |
| 設立登記の登録免許税 | 15万円 | 登記申請のとき |
| 登記事項証明書・印鑑証明書 | 数千円 | 登記完了後 |
| 司法書士報酬(依頼する場合) | 事務所により異なります | 依頼の条件により |
紙の定款の場合は収入印紙4万円が加わります。合同会社なら定款の認証は不要で、登録免許税は資本金2,000万円で14万円です。
この時期には、あわせて会社の実印・銀行印・角印の作成費用もかかります。数千円から数万円といったところです。
そして、資本金の払い込みがあります。これは費用ではなく、会社の資産になるものです。ただし、この時点で手元に用意しておく必要があります。
人材派遣の会社設立では、労働者派遣事業の許可の資産要件から資本金が2,000万円以上になります。会社設立の登記の時点で、この資金を用意しておく必要があるということです。
そして、この資金は借入ではなく自己資金として用意する必要があります。基準資産額は資産の総額から負債の総額を控除した額なので、借入で用意しても増えないからです。
人材派遣の会社設立では、この点がいちばんの関門になります。会社設立の登記の費用は20万円ほどですが、その前に2,000万円を用意しておく必要があるということです。
出典商業・法人登記の申請手続 (法務局/2026年8月27日確認)
第2の山|事業所を借りるとき

二つ目の山が、事業所の初期費用です。ここは物件によって金額の幅がいちばん大きくなります。
労働者派遣事業の事業所には、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あることが求められます。加えて、派遣スタッフと面談できる、個人的な秘密を保持できる場所も必要です。
- 敷金(数か月分の家賃)
- 礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 火災保険料
- 内装工事やパーテーションの設置
- 机・椅子・パソコン・電話・複合機
- 鍵のかかるキャビネット(個人情報の管理に関する措置)
都市部の小規模オフィスであれば、敷金・礼金・仲介手数料だけで数十万円になることもあります。備品を含めれば、100万円を超えることもめずらしくありません。
この費用は、会社設立の登記の前後に発生します。事業所は許可申請の要件なので、申請までに確保しておく必要があるからです。
そして、賃貸借契約を結んだ時点から家賃が発生します。許可が下りるまで営業できないため、この家賃は売上のないまま出ていくことになります。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第3の山|許可申請のとき

三つ目の山が、労働者派遣事業の許可申請の費用です。
| 項目 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 許可手数料(収入印紙) | 12万円+5万5千円×(事業所数−1) | 労働者派遣法第54条、施行令第9条 |
| 登録免許税 | 許可1件当たり9万円 | 登録免許税法第21条 |
| 合計(事業所1か所) | 21万円 |
収入印紙の消印後は、手数料は返却されません。登録免許税は日本銀行などに納付し、領収書を許可申請書に貼付します。
これに加えて、派遣元責任者講習の受講料がかかります。金額は講習機関によって異なります。
社会保険労務士に許可申請の書類作成を依頼する場合は、その報酬も加わります。就業規則の整備まで含むかどうかで金額は変わります。
この時期は、会社設立の登記が完了してから1〜2か月後になります。登記の費用を払ってから、また別のまとまった支出があるということです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第4の山|毎月出ていくもの

四つ目が、毎月出ていく固定費です。ひとつひとつは大きくありませんが、期間が長いため合計は大きくなります。

人材派遣は、労働者派遣事業の許可が下りるまで営業ができません。会社設立の準備から営業開始まで3〜4か月、最初の入金までさらに1〜2か月です。
上の例で、無収入期間を5か月と見れば、小さく始める場合で225万円、人を雇う場合で500万円になります。会社設立の登記費用や許可申請の費用より、はるかに大きい金額です。
そして、役員報酬を出せば社会保険料の事業主負担も発生します。法人は原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になるからです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
営業が始まってからの、資金の動き

許可が下りて営業が始まると、資金の動きが変わります。売上が立つようになりますが、同時に新しい支出も始まります。
人材派遣は、派遣スタッフへの給与が先で、派遣先からの入金が後という順番でできています。
- 派遣先と労働者派遣契約を結ぶ
- 派遣スタッフを雇用し、派遣先で働いてもらう
- 月末で締めて、派遣スタッフに給与を支払う
- 派遣先に請求書を送る
- 翌月末または翌々月末に、派遣料金が入金される
3番目と5番目のあいだに、1か月から2か月の開きがあります。この間、派遣スタッフの給与と社会保険料の事業主負担は、会社が立て替えている形になります。
そして、この立て替えは事業が伸びるほど大きくなります。派遣スタッフを10人にすれば10人分、20人にすれば20人分の給与を先に払う必要があります。
会社設立の資金計画では、この運転資金も見込んでおいてください。資産要件を満たすための資金とは別に必要なお金です。
あわせて、教育訓練の費用も発生します。フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、少なくとも最初の3年間は毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会の提供が必要とされています。しかも有給かつ無償で行うことが原則です。
これは許可の要件なので、実施しないという選択肢はありません。会社設立の収支計画では、この人件費も見込んでおいてください。
出典一般社団法人 日本人材派遣協会 (日本人材派遣協会/2026年8月27日確認)
時系列に並べ直す

ここまでの内容を、時系列に並べ直します。

この図で確かめておきたいのは、いちばん上です。資本金は会社設立の登記より前に用意しておく必要があります。定款の認証を受けたあとに払い込み、その証明書類を登記申請に添えるからです。
そして、いちばん下です。営業が始まってからも、入金より先に給与を払う期間があります。この時期がいちばん現金が薄くなります。
会社設立の資金計画を立てるとき、この順番をカレンダーに置いてください。総額だけを見ていると、途中で足りなくなることがあります。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
資産要件は、出ていくお金ではありません

最後に、もう一度確かめておきたいことがあります。基準資産額2,000万円・自己名義の現金預金1,500万円という資産要件は、出ていくお金ではありません。
会社に置いておくお金です。ただし、置いておく必要があるということは、他の用途に使えないということでもあります。
たとえば、資本金2,000万円で会社設立をして、そこから設立費用や事業所の初期費用を支払えば、基準資産額はその分だけ減ります。許可申請の時点で2,000万円を割り込んでいれば、要件を満たしません。

この二つを混ぜて計算すると、許可は取れても事業が回らないという状態になります。あるいは、事業を回そうとして資産要件を割り込むことになります。
人材派遣の会社設立で用意すべき金額は、資産要件の2,000万円に、出ていく費用を加えた額です。この記事の時系列を参考に、ご自身の事業計画の数字で計算してみてください。
そして、この資産要件は許可の更新のたびに確かめられます。会社設立のときに一度満たせばよいものではありません。有効期間は初めての許可が3年、一度更新を受けた場合は5年です。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
まとめ|時系列で見た資金計画

人材派遣の会社設立にかかるお金を、時系列でまとめます。
- 資本金は登記より前に用意する。 基準資産額2,000万円以上(事業所1か所)から逆算します。
- 事業所の契約は登記の前後。 敷金・礼金・仲介手数料。ここから家賃が発生します。
- 会社設立の法定費用は登記のとき。 株式会社で20万円ほど。
- 許可申請の法定費用は登記の1〜2か月後。 収入印紙12万円と登録免許税9万円。
- 毎月の固定費は営業できない期間も続く。 5〜6か月分を見込んでおきます。
- 営業開始後は給与の立て替えが始まる。 入金は1〜2か月後です。
- 資産要件は出ていくお金ではない。 ただし他の用途には使えません。
総額だけを見ていると、途中で資金が足りなくなることがあります。時系列に並べて、いつ何が必要かをカレンダーに置いてください。
この記事の金額は2026年8月27日時点で、厚生労働省・法務局・日本公証人連合会・国税庁の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。資金計画と税額の判断は税理士へ、許可の資産要件については所管の都道府県労働局へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
出ていく時期を、カレンダーに置いてください
人材派遣の会社設立では、会社設立の登記、許可申請、事業所の契約、そして毎月の固定費という順でお金が出ていきます。それぞれ時期が違います。
総額だけを見ていると、途中で資金が足りなくなることがあります。時系列に並べて、いつ何が必要かをカレンダーに置いてください。
資金計画と税額の判断は税理士へ、許可の資産要件については所管の都道府県労働局へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
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