マージン率の情報公開は義務です。人材派遣の会社設立で用意しておくこと
公開する情報を知りたい方へ
人材派遣の会社設立を進めていて、マージン率などの情報公開について知りたい方に向けた記事です。
派遣元事業主には、事業所ごとの情報を提供する義務があります。マージン率だけでなく、派遣労働者の数、派遣先の数、派遣料金の平均額なども対象です。
そして、この情報はインターネットの利用その他の適切な方法により提供することとされています。会社設立の段階で、掲載する場所を用意しておく必要があります。
情報提供は、派遣元事業主の義務です

派遣元事業主には、事業所ごとの情報を提供する義務があります。
この制度は、派遣労働者や派遣先となる事業主が、より適切な派遣会社を選択できるようにするためのものと説明されています。
提供する情報には、次のようなものが含まれます。
- 派遣労働者の数
- 労働者派遣の役務の提供を受けた者(派遣先)の数
- 労働者派遣に関する料金の額の平均額
- 派遣労働者の賃金の額の平均額
- いわゆるマージン率
- 労使協定を締結しているか否かの別
- 派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項
五つ目のマージン率は、派遣料金の平均額から賃金の平均額を引き、それを派遣料金の平均額で割ったものです。三つ目と四つ目が公開されるため、そこから計算できる数字でもあります。
そして、この情報はインターネットの利用その他の適切な方法により提供することとされています。
人材派遣の会社設立では、この掲載場所を用意しておく必要があります。ホームページを作ることになるでしょう。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
マージン率とは何か

マージン率とは、派遣料金の平均額に占める、派遣料金と賃金の差額の割合です。
式にすると、次のようになります。
マージン率 =(派遣料金の平均額 − 派遣労働者の賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額
たとえば、派遣料金の平均額が時間あたり2,500円、賃金の平均額が1,750円であれば、差額は750円です。これを2,500円で割ると、マージン率は30パーセントになります。
ここで注意していただきたいのは、このマージンが会社の利益ではないということです。
マージンからは、社会保険料の事業主負担、教育訓練の費用、営業と事務の人件費、事業所の家賃といった費用が引かれます。残ったものが利益になります。
人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、この区別を明確にしておいてください。マージン率30パーセントは、利益率30パーセントという意味ではありません。
そして、マージン率は事業所ごとに提供する情報です。会社全体の平均ではありません。人材派遣の会社設立で複数の事業所を計画している場合、事業所ごとに数字が変わることも見込んでおいてください。
なお、労働者派遣事業の許可を受けていない状態で労働者派遣を行うことはできません。マージン率の設計は、許可が下りたあとの話です。会社設立と許可申請を終えてから、実際の数字が動きはじめます。
出典一般社団法人 日本人材派遣協会 (日本人材派遣協会/2026年8月27日確認)
マージンの中身を、説明できるようにする

マージン率は公開される数字です。したがって、その中身を説明できるようにしておく必要があります。

この図で見ていただきたいのは、いちばん上です。社会保険料などの事業主負担が、マージンのなかで大きな割合を占めます。
そして、教育訓練の費用もあります。労働者派遣事業の許可の要件として、有給かつ無償で実施することが原則とされているからです。
営業と事務の人件費も、マージンから出ています。派遣先を開拓し、派遣スタッフを採用し、給与を計算し、社会保険の手続きをする。この人件費です。
人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、マージンの中身を分解しておいてください。公開される数字である以上、何に使っているのかを説明できる形にしておく必要があります。
会社設立の直後は、営業と事務を代表者が兼ねることも多いでしょう。そのときも、この人件費は役員報酬として発生します。マージンの中身を考えるとき、自分自身の報酬も費用として数えてください。
出典一般社団法人 日本人材派遣協会 (日本人材派遣協会/2026年8月27日確認)
いつ、どう公開するのか

情報提供の方法と時期について整理します。
方法は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うこととされています。実務上は、ホームページに掲載する形が一般的です。
時期については、事業年度ごとの実績にもとづいて更新することになります。決算のあとに、集計して公開するという作業が発生します。
- 方法
- インターネットの利用その他の適切な方法により
- 単位
- 事業所ごとに提供します
- 時期
- 事業年度ごとの実績にもとづき更新します
- 対象
- 派遣労働者の数、派遣先の数、派遣料金の平均額、賃金の平均額、マージン率、労使協定の締結の有無、キャリア形成支援制度に関する事項など
- 元になる資料
- 派遣元管理台帳、給与の記録、契約の記録など
五つ目に注目してください。情報提供の元になるのは、日々の記録です。派遣元管理台帳、給与の記録、契約の記録。これらがなければ集計できません。
人材派遣の会社設立の段階で、この記録の仕組みを決めておいてください。あとから集計しようとしても、記録がなければできません。
そして、この作業は決算のあとに来ます。決算・申告、事業報告書の作成、情報提供の更新。この時期に事務が集中することになります。
そして、情報提供の内容や様式については、所管の都道府県労働局が案内を出していることがあります。人材派遣の会社設立の準備の段階で、一度確認しておいてください。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
事業報告書という、別の義務もあります

情報提供とは別に、事業報告書の提出という義務もあります。
派遣元事業主は、毎事業年度経過後に、労働者派遣事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業報告書を作成し、厚生労働大臣に提出することとされています。
この二つは別のものです。情報提供は一般に公開するもの、事業報告書は行政に提出するものです。
ただし、元になる数字は共通する部分があります。派遣労働者の数、派遣先の数、派遣料金、賃金といった情報です。
人材派遣の会社設立では、この両方に対応できる記録の仕組みを作っておいてください。一度集計すれば両方に使える形にしておくと、作業が楽になります。
そして、事業報告書の提出は許可の維持にも関わります。提出していなければ、指導の対象になり得ます。
また、事業報告書には、労働者派遣事業を行う事業所ごとの実績を記載します。会社設立の段階で事業所を一つにしておけば、この作業も一つで済みます。拠点を増やすかどうかは、この事務の負担も含めて考えてください。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立の段階で用意しておくもの

情報提供に対応するために、会社設立の段階で用意しておくものを整理します。

一つ目のホームページは、人材派遣の会社設立では実質的に必須になります。情報提供の場所として必要だからです。
そして、二つ目から五つ目の記録の仕組みが、情報提供の元になります。日々の記録がなければ、集計できません。
六つ目と七つ目の担当も決めておいてください。決算のあとに作業が集中するため、誰がやるのかを決めておかないと後回しになります。
人材派遣の会社設立では、これらを会社設立の準備の段階で決めておいてください。事業が始まってから考えるのでは、記録が抜けます。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
公開される前提で、事業を設計する

情報提供の義務があるということは、人材派遣の事業が透明性を前提にしているということです。
派遣料金の平均額も、賃金の平均額も、マージン率も公開されます。派遣スタッフにも派遣先にも見られます。
つまり、数字を隠して事業を組み立てることはできないということです。
人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、この前提を受け入れてください。そして、公開しても説明できる形にしておいてください。
マージン率が高いことが悪いわけではありません。教育訓練を充実させ、キャリアコンサルティングを丁寧に行い、社会保険にきちんと加入させれば、その分の費用がかかるからです。
むしろ、マージン率が低すぎることが問題になることもあります。これらの費用を十分にかけられていないのではないか、という見方をされるからです。
会社設立の段階で、自社のマージンをどう説明するかを考えておいてください。何に使っているのかを言葉にできれば、公開も怖くありません。
出典一般社団法人 日本人材派遣協会 (日本人材派遣協会/2026年8月27日確認)
情報提供と、許可の維持

情報提供は、労働者派遣事業の運営に関わる義務です。したがって、許可の維持にも関わります。
労働局には指導・監督の権限があり、違反があれば改善命令などの対象になり得ます。情報提供をしていなければ、指導の対象になります。
そして、労働者派遣事業の許可の有効期間は、初めて許可を受けた場合が3年、一度更新を受けた場合が5年です。更新の審査では、この期間の運営状況も見られます。
厚生労働省の業務取扱要領は、キャリア形成支援制度について、更新申請の直前の有効期間内において許可の基準を満たす実施状況であったかを確認するとしています。
情報提供の対象には、派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項も含まれます。この情報を提供していれば、実施していることの一つの示し方にもなります。
人材派遣の会社設立では、この情報提供を続けられる体制を作っておいてください。事業年度ごとの作業として、年間の予定に組み込んでおくとよいでしょう。
あわせて、情報提供の更新を忘れないことも大切です。古い数字を掲載したままにしていれば、実態と合わなくなります。人材派遣の会社設立では、決算のあとに更新するという流れを決めておいてください。
出典労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 適正な運営の確保に関する措置に係る手続 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
まとめ|マージン率の情報公開

マージン率などの情報公開について、まとめます。
- 情報提供は派遣元事業主の義務。 事業所ごとに、インターネットの利用その他の適切な方法により行います。
- 対象は幅広い。 派遣労働者の数、派遣先の数、派遣料金の平均額、賃金の平均額、マージン率、労使協定の締結の有無、キャリア形成支援制度に関する事項など。
- マージンは会社の利益ではない。 社会保険料の事業主負担、教育訓練の費用、営業と事務の人件費が含まれます。
- 事業年度ごとに更新する。 決算のあとに集計する作業が発生します。
- 事業報告書という別の義務もある。 毎事業年度経過後に提出します。
- 会社設立の段階で掲載場所と記録の仕組みを用意する。 日々の記録がなければ集計できません。
- 公開される前提で事業を設計する。 数字を隠して組み立てることはできません。
マージン率も派遣料金の平均額も賃金の平均額も、公開される情報です。人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、この透明性を前提にしてください。
そして、公開しても説明できる形にしておいてください。何に使っているのかを言葉にできれば、公開も怖くありません。
この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。情報提供の内容と方法については所管の都道府県労働局へ、集計と公開の実務は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
公開される前提で、事業を設計してください
マージン率も派遣料金の平均額も賃金の平均額も、公開される情報です。派遣スタッフにも派遣先にも見られます。
人材派遣の会社設立で収支計画を立てるとき、この透明性を前提にしてください。数字を隠して事業を組み立てることはできません。
情報提供の内容と方法については所管の都道府県労働局へ、集計と公開の実務は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
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