日雇い派遣は原則禁止です。人材派遣の会社設立で組める働き方
短期の派遣を考えている方へ
人材派遣の会社設立を考えていて、短期の仕事を扱おうとしている方に向けた記事です。
労働者派遣法は、日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者について、労働者派遣を原則として禁止しています。例外はありますが、範囲は限られています。
短期の仕事を中心にした事業計画を立てている場合、この規制で計画が成り立たなくなることがあります。会社設立の前に確かめてください。
条文が定めていること

労働者派遣法第35条の4第1項は、日雇労働者についての労働者派遣を原則として禁止しています。
ここでいう日雇労働者とは、日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する労働者をいうと条文に定義されています。
つまり、雇用契約の期間が30日以内であれば、日雇労働者に当たるということです。1日だけの契約に限りません。
そして、条文は次の場合を除いて、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならないとしています。
- 政令で定める業務について労働者派遣をする場合
- 雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合その他の場合で政令で定める場合
この二つが例外です。それぞれ、労働者派遣法施行令第4条に具体的な定めが置かれています。
人材派遣の会社設立で短期の仕事を扱おうとしている場合、この例外に当たるかどうかが分かれ目になります。
この規制が置かれているのは、短い雇用契約では雇用管理が行き届きにくいという考え方によります。安全衛生の教育も、社会保険の手続きも、短期では十分に行いにくいからです。
人材派遣の会社設立では、この趣旨を理解しておいてください。趣旨が分かれば、どういう組み立てなら成り立つのかも見えてきます。
出典労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索) (e-Gov法令検索/2026年8月27日確認)
例外となる業務

一つ目の例外は、政令で定める業務についての労働者派遣です。
労働者派遣法施行令第4条第1項に、業務が列挙されています。おおまかに整理すると、次のような内容です。
- システムの設計・保守、プログラムの設計・作成・保守の業務
- 機械、装置若しくは器具又はこれらにより構成される設備の設計又は製図の業務
- 電子計算機、タイプライター又はこれらに準ずる事務用機器の操作の業務
- 通訳、翻訳又は速記の業務
- 事業運営上の重要な決定を行う管理的地位にある者の秘書の業務
- 文書、磁気テープ等のファイリングに係る分類の作成などの業務
- 市場等に関する調査又はその結果の整理若しくは分析の業務
- 貸借対照表、損益計算書等の財務に関する書類の作成その他財務の処理の業務
- 外国貿易その他の対外取引に関する文書などの作成の業務
- 機械の性能、操作方法等に関する紹介及び説明の業務
- 旅程管理業務等、その付随の業務、送迎サービスの提供の業務
- 建築物又は博覧会場における来訪者の受付又は案内の業務
- 科学に関する研究又は新製品などの開発の業務
- 事業の実施体制又は運営方法の整備に関する調査、企画又は立案の業務
- 書籍、雑誌その他の作品の制作における編集の業務
- 商品若しくはその包装のデザインなどの考案、設計又は表現の業務
- 事務用機器の操作方法などを習得させるための教授又は指導の業務
- 顧客の要求に応じて設計を行う機械等などの説明若しくは相談などの業務
- 保健師助産師看護師法第5条に規定する業務(病院等などにおいて行われるものを除く)
条文には、それぞれに細かい限定が付いています。ここに書いたのは要点だけです。正確な範囲は施行令の条文でご確認ください。
列挙されている業務は、いずれも専門性のある内容です。単純作業を短期で派遣するという組み立ては、この例外には入りません。
人材派遣の会社設立で例外となる業務を扱う場合でも、労働者派遣事業の許可は必要です。日雇い派遣の例外に当たるということと、許可が要らないということは別の話です。
出典労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(e-Gov法令検索) (e-Gov法令検索/2026年8月27日確認)
例外となる場合

二つ目の例外は、政令で定める場合です。労働者派遣法施行令第4条第2項に定めがあります。
条文は、派遣元事業主が日雇労働者の安全又は衛生を確保するため必要な措置その他の雇用管理上必要な措置を講じている場合であって、次のいずれかに該当するとき、としています。

三つ目の収入の額について、労働者派遣法施行規則第28条の3第2項は、厚生労働省令で定める額を五百万円とすると定めています。
そして同条第1項は、算定する収入の額を、日雇労働者の1年分の賃金その他の収入の額、または主として生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する者に限り、その配偶者等の1年分の賃金その他の収入の額を合算した額としています。
人材派遣の会社設立でこの例外を使う場合、該当することを確認する仕組みが必要になります。確認しないまま派遣すれば、違反になり得ます。
なお、学生については、定時制の課程に在学する者その他厚生労働省令で定める者が除かれています。すべての学生が例外に当たるわけではないということです。
出典労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索) (e-Gov法令検索/2026年8月27日確認)
短期の仕事を扱う事業計画の見直し

短期の仕事を中心にした事業計画を立てていた場合、この規制で計画が成り立たなくなることがあります。
そのときの選択肢を整理します。
- 雇用契約を31日以上にする。 派遣先での就業が短くても、雇用契約を31日以上にすれば日雇労働者に当たりません。
- 例外となる業務に絞る。 施行令第4条第1項に列挙された業務であれば、30日以内の契約でも派遣できます。
- 例外となる方に絞る。 60歳以上の方、学生の方などです。ただし確認の仕組みが要ります。
- 別の制度を検討する。 有料職業紹介事業など、制度そのものを変える方向です。
一つ目が、実務では中心になります。雇用契約を31日以上にし、その期間内で複数の派遣先に就業していただくという組み立てです。
ただし、雇用契約が31日以上あるということは、その期間の雇用の責任を負うということです。仕事がない日の扱いも決めておく必要があります。
人材派遣の会社設立では、この点を労働契約の設計として考えてください。就業規則や雇用契約書の作り方に関わります。
二つ目と三つ目は、当てはまる範囲が限られます。これだけで事業を組み立てるのは難しいでしょう。人材派遣の会社設立では、一つ目を基本に据えて、二つ目と三つ目を補いとして考えるのが現実的です。
出典人材派遣・職業紹介を行う皆さまへ (厚生労働省/2026年8月27日確認)
社会保険との関係も見ておく

雇用契約の期間は、社会保険の適用にも関わります。
健康保険と厚生年金保険は、適用事業所に使用される方が対象となります。ただし、雇用期間や労働時間によって扱いが変わります。
雇用契約を31日以上にするということは、社会保険の適用を検討する場面が増えるということでもあります。
そして、雇用保険についても、31日以上の雇用見込みがあることなどの要件が定められています。
人材派遣の会社設立で雇用契約の期間を設計するとき、社会保険と労働保険の適用もあわせて考えてください。
事業主負担が発生すれば、収支計画の前提が変わります。派遣料金と賃金の差額から出ていく費用が増えるということです。
そして、社会保険の加入は許可の審査にも関わります。許可の基準は、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有することを求めているからです。
出典新規適用の手続き (日本年金機構/2026年8月27日確認)
許可の要件との関係

日雇い派遣の規制は、労働者派遣事業の許可の要件とも関わります。
許可の基準には、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものであることが求められています。
そして、教育訓練についても、フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、少なくとも最初の3年間は毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会の提供が必要とされています。
短期の雇用が中心の事業では、この教育訓練の実施も難しくなります。
人材派遣の会社設立で許可を目指すなら、継続的な雇用を前提とした設計のほうが、要件を満たしやすくなります。
そして、許可申請の事業計画書にも、雇用の見込みを記載することになります。短期の雇用ばかりの計画では、雇用管理の体制を説明しにくくなります。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立の段階で決めておくこと

ここまでの内容を、人材派遣の会社設立の準備に落とし込みます。

二つ目の雇用契約の期間の方針が、いちばん大きな判断です。ここが決まれば、あとの項目もつながります。
三つ目の仕事がない日の扱いも決めておいてください。雇用契約が続いている以上、賃金や休業手当の問題が出ます。
人材派遣の会社設立では、これらを就業規則と雇用契約書に落とし込みます。社会保険労務士に相談しながら作るのが確実です。
そして、これらの準備は会社設立の登記と並行して進められます。登記が終わってから考え始めるのでは、許可申請までの期間が延びます。
出典派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針ほか (厚生労働省/2026年8月27日確認)
違反した場合

日雇い派遣の禁止に違反した場合、どうなるか。
労働者派遣法は、厚生労働大臣が派遣元事業主に対して必要な指導及び助言をすることができる旨、事業の改善を命ずることができる旨を定めています。
そして、許可の取消しの定めもあります。
許可が取り消されれば、労働者派遣事業を続けることはできません。派遣スタッフの雇用も、派遣先との契約も止まります。
なお、許可を受けないで労働者派遣事業を行った者については、労働者派遣法第59条第2号が1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金を定めています。
人材派遣の会社設立では、この結果を理解した上で事業を組み立ててください。規制を回避する方向で考えるのではなく、規制のなかで成り立つ形を探すことです。
出典労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索) (e-Gov法令検索/2026年8月27日確認)
まとめ|日雇い派遣の原則禁止

日雇い派遣の原則禁止について、まとめます。
- 日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者の派遣は原則禁止。 労働者派遣法第35条の4第1項の定めです。
- 期間は雇用契約で見る。 派遣先での就業日数ではありません。
- 例外は政令で定める業務。 施行令第4条第1項に列挙されています。
- 例外は政令で定める場合。 60歳以上、学生、収入500万円以上などです。
- 雇用管理上必要な措置が前提。 例外に当たっても、措置を講じていることが要ります。
- 31日以上の雇用契約で組むのが中心。 その分の雇用の責任を負います。
- 違反すれば指導・改善命令・許可の取消しがあり得る。
人材派遣の会社設立では、原則のほうを前提に事業を組み立ててください。例外に頼った計画は、確認の手間も増え、運用も難しくなります。
そして、雇用契約の期間を長くすれば、社会保険の適用も雇用の責任も増えます。それを織り込んだ収支計画を作ってください。
この記事の内容は2026年8月27日時点で、e-Gov法令検索の条文により確認したものです。法令は改正されます。個別の事案が例外に当たるかどうかは所管の都道府県労働局が判断します。雇用契約や就業規則の設計は社会保険労務士へ、税務の判断は税理士へご相談ください。
出典労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov法令検索) (e-Gov法令検索/2026年8月27日確認)
例外を広く読まないでください
日雇い派遣の禁止には例外がありますが、政令と省令で範囲がはっきり定められています。当てはまらない働き方を、当てはまるように見せることはできません。
人材派遣の会社設立では、原則のほうを前提に事業を組み立ててください。例外に頼った計画は、危うい計画です。
個別の事案が例外に当たるかどうかは、所管の都道府県労働局にご確認ください。雇用契約や就業規則の設計は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説です。
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