人材派遣の会社設立と許可申請で要る書類を、一覧にして取り方まで書く
書類の準備を始める方へ
人材派遣の会社設立を進めていて、そろえる書類の全体像を知りたい方に向けた記事です。
書類には三つの種類があります。役所で取るもの、様式に沿って書くもの、自分で中身を考えて作るもの。三つ目がいちばん時間がかかります。
この記事では、その区別をつけながら一覧にします。取得に時間がかかるものから手をつけられるようにしてあります。
書類は三つの種類に分かれます

人材派遣の会社設立と労働者派遣事業の許可申請で必要な書類は、性質によって三つに分かれます。この区別をつけておくと、準備の順番が決まります。
- 役所で取るもの登記事項証明書、住民票、印鑑証明書、納税証明書。申請すれば出てきます。時間はあまりかかりません。
- 様式に沿って書くもの許可申請書(様式第1号)、事業計画書(様式第3号)。書き方は決まっているので、材料がそろえば書けます。
- 自分で中身を作るもの就業規則、個人情報適正管理規程、教育訓練計画。ここがいちばん時間がかかります。
三つ目が重いのは、中身が許可の基準を満たしているかで判断されるからです。形式を整えるだけでは足りません。市販のひな形をそのまま使うと、必要な条項が入っていないことがあります。
ですから準備の順番は、三つ目から始めるのが合理的です。役所で取る書類は最後でも間に合いますが、自分で作る書類は考える時間が要ります。

出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立の登記で要る書類

まず会社設立の登記です。株式会社の場合に必要な書類を並べます。合同会社では定款の認証が不要になるなど、一部が変わります。
| 書類 | 入手方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 定款 | 自分で作成し、公証役場で認証(株式会社) | 事業目的に労働者派遣事業を行うことが読み取れる文言を入れます |
| 設立登記申請書 | 法務局の様式を使います | 法務局のサイトに記載例があります |
| 発起人の決定書 | 自分で作成 | 本店所在地や設立時取締役の選任などを記載します |
| 就任承諾書 | 自分で作成 | 設立時取締役ごとに用意します |
| 設立時取締役の印鑑証明書 | 市区町村役場 | 発行から一定期間内のものが求められます |
| 払込みがあったことを証する書面 | 自分で作成 | 発起人の口座の通帳の写しなどを添えます |
| 印鑑届書 | 法務局の様式 | 会社の実印を届け出ます |
必要書類は会社の機関設計によって変わります。詳しくは法務局の案内、または司法書士にご確認ください。
人材派遣の会社設立でこの段階に固有の注意点は、定款の事業目的です。「人材派遣業」とだけ書いても定款の認証は通り、登記もできます。ところが労働者派遣事業の許可申請の段階で、労働者派遣事業を行うことが読み取れるかを確認されることがあります。
登記が完了したら、登記事項証明書と法人の印鑑証明書を取ります。これらは許可申請の添付書類になるため、必要な通数を確かめてからまとめて取ってください。
出典商業・法人登記の申請手続 (法務局/2026年8月27日確認)
許可申請の申請書と計画書

労働者派遣事業の許可申請では、申請書と事業計画書を提出します。様式は都道府県労働局のサイトからダウンロードできます。
- 労働者派遣事業許可申請書(様式第1号)3通(正本1通、写し2通)
- 労働者派遣事業計画書(様式第3号)3通(正本1通、写し2通)
- キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)
- 様式第3号-3(派遣労働者のうち雇用保険または健康保険・厚生年金保険の未加入者がいる場合にのみ提出)
様式第3号には、事業所ごとの当該事業に係る計画を書きます。ここに「3 資産等の状況」という欄があり、厚生労働省の業務取扱要領は、基準資産額や自己名義の現金・預金の額をこの欄または貸借対照表により確認する、としています。
つまり、この欄が資産要件の判定に直接使われます。数字を正確に書く必要があります。
申請は事業主単位(会社単位)で行い、事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局に提出します。事業所ごとに申請するのではありません。ただし事業計画書は事業所ごとに作成します。
なお、事業主管轄労働局は、管轄以外の地域で派遣事業を実施する内容の申請を受けた場合、労働者派遣事業を行おうとする各事業所の事業所管轄労働局に対して、申請書の写しと各事業所に関する書類を送付することとされています。事業所を複数の都道府県に置く計画であれば、その分だけ確認の手続きが増えるということです。
会社設立の段階で事業所を1か所に絞る判断が現実的なのは、資産要件の掛け算だけでなく、こうした手続きの面もあるからです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
役所で取る添付書類

許可申請の添付書類のうち、役所で取るものを並べます。人材派遣の会社設立で法人として申請する場合を前提にします。
| 書類 | 取る場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局 | 会社設立の登記完了後に取れます |
| 役員の住民票の写し | 市区町村役場 | 本籍地の記載があり、個人番号の記載がないもの |
| 派遣元責任者の住民票の写し | 市区町村役場 | 同じ条件です |
| 法人税の納税証明書 | 税務署 | 国税通則法施行規則別紙第8号様式(その2)による、最近の事業年度における所得金額に関するもの |
| 不動産の登記事項証明書 | 法務局 | 事業所を自己所有する場合。賃貸の場合は賃貸借契約書の写し |
必要な書類は申請の内容によって変わります。詳しくは所管の都道府県労働局の案内でご確認ください。
住民票の写しについて、条件を見落とさないでください。本籍地の記載があり、個人番号の記載がないものが求められます。窓口で請求するときに、この二つを指定する必要があります。
法人税の納税証明書も、様式が指定されています。会社設立の直後でまだ法人税の申告をしていない場合の取扱いについては、所管の都道府県労働局にご確認ください。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
自分で作る書類その1|就業規則

ここからが時間のかかる書類です。まず就業規則。許可申請では、就業規則または労働契約のうち、特定の内容を規定した部分の写しが求められます。
厚生労働省の資料によれば、求められるのは次の内容です。
- 教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うことを原則とする取扱いを規定した部分
- 無期雇用の派遣労働者を、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと(解雇しないことを証する書類)
- 有期雇用の派遣労働者についても、労働者派遣契約終了時に労働契約が存続している者を、契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がないこと
- 無期雇用の派遣労働者、または労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した有期雇用の派遣労働者について、次の派遣先を見つけられない等、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合に、労働基準法第26条に基づく手当を支払う旨の規定があること
市販のひな形や、他業種の会社設立で使われる就業規則には、これらが入っていないことがほとんどです。人材派遣に固有の内容だからです。
特に二つ目と三つ目に注意してください。「規定がないこと」を求められています。つまり、契約終了で解雇できるという趣旨の条項が入っていると、それが問題になります。既存のひな形をそのまま使うと、この条項が入っていることがあります。
就業規則の作成は社会保険労務士の業務です。人材派遣の会社設立では、ここだけでも相談しておく価値があります。
あわせて、派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引・マニュアル等、またはその概要の該当箇所の写しも求められます。これは、どの派遣スタッフをどの派遣先に紹介するかを、キャリア形成の観点から判断する手順を定めた文書です。
この文書も、会社設立の段階で新しく作ることになります。就業規則・個人情報適正管理規程・教育訓練計画とあわせて、四つ目の自作書類と考えておくとよいでしょう。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
自分で作る書類その2|個人情報適正管理規程

労働者派遣事業の許可の要件には、個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることが含まれます。その中心が個人情報適正管理規程です。
厚生労働省の許可基準は、次の内容を含む規程を定めていることが必要としています。
- 派遣労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること
- 業務上知り得た個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること
- 派遣労働者等から求められた場合の個人情報の開示または訂正(削除を含む)の取扱いに関する事項についての規程があり、その規程について派遣労働者等への周知がなされていること
- 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関して、派遣元責任者等を苦情処理の担当者等の取扱責任者と定めるなど、事業所内の体制を明確にし、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること
規程の文面だけでなく、実際の措置も見られます。個人情報を目的に応じ必要な範囲で正確かつ最新のものに保つ措置、紛失・破壊・改ざんを防止する措置、取り扱う職員以外の者によるアクセスを防止する措置、保管の必要がなくなった個人情報を破棄または削除する措置です。
収集してはならない個人情報についても定めがあります。人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況です。ただし、日雇派遣の禁止の例外として認められる場合の収入要件を確認するために必要なものなど、例外があります。
この規程も、人材派遣に固有の内容です。会社設立とあわせて用意する必要があります。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
自分で作る書類その3|教育訓練計画

三つ目が教育訓練計画です。労働者派遣事業の許可の要件として、派遣労働者のキャリアの形成を支援する制度を有することが求められます。
計画に求められる内容を並べます。
- 実施する教育訓練が、雇用するすべての派遣労働者を対象としたものであること
- 有給かつ無償で行われるものであること(受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うことが原則)
- 派遣労働者のキャリアアップに資する内容のものであること
- 派遣労働者として雇用するにあたり実施する教育訓練(入職時の訓練)が含まれたものであること
- 無期雇用の派遣労働者に対して実施する教育訓練は、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容であること
時間数についても基準があります。フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当たり、少なくとも最初の3年間は、毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会の提供が必要とされています。教育訓練は、少なくとも最初の3年間は毎年1回以上の機会の提供が必要で、その後もキャリアの節目などの一定の期間ごとにキャリアパスに応じた研修等が用意されていることが求められます。
あわせて、キャリアコンサルティングの相談窓口の設置も必要です。担当者には、キャリアコンサルタント(有資格者)、キャリアコンサルティングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者など)、または派遣先との連絡調整を行う営業担当者を配置する必要があります。
さらに、キャリアアップ措置に関する実施状況等、教育訓練等の情報を管理した資料を、労働契約終了後3年間保存することも求められます。会社設立の段階で、この記録をどう管理するかも決めておいてください。
出典許可基準(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
まとめ|書類の一覧と、着手の順番

人材派遣の会社設立と許可申請で必要な書類を、まとめます。

役所で取る書類は申請すれば出てきます。時間がかかるのは、自分で中身を考える三つの書類です。会社設立の準備と並行して、早めに手をつけてください。
この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省・法務局の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。書類の内容が要件を満たすかどうかの判断は所管の都道府県労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へ、登記は司法書士へご確認ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
時間のかかるものから、先に手をつけてください
書類のなかで時間がかかるのは、就業規則・個人情報適正管理規程・教育訓練計画の三つです。市販のひな形をそのまま使うと、許可の基準が求める内容が入っていないことがあります。
逆に、役所で取る書類は申請すれば出てきます。会社設立の登記が終われば、登記事項証明書は数十分で取れます。
書類の内容が要件を満たすかどうかの最終的な判断は所管の都道府県労働局が行います。作成・提出の代行は社会保険労務士、登記は司法書士の業務です。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行ではありません。
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