労働者派遣事業の許可申請の流れ。労働局への相談から許可証の交付まで
申請の段取りを知りたい方へ
人材派遣の会社設立を進めていて、労働者派遣事業の許可申請の段取りを知りたい方に向けた記事です。
申請は事業主単位(会社単位)で行い、事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局に提出します。事業所ごとに申請するのではありません。
この記事では、事前相談から許可証の交付までの流れを順に追います。会社設立の登記との関係も整理します。
申請は、会社単位で主たる事務所の労働局へ

労働者派遣事業の許可申請は、事業主単位(会社単位)で行います。事業所ごとに申請するのではありません。
提出先は、事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局です。これを事業主管轄労働局といいます。
事業所を複数の都道府県に置く場合でも、申請そのものは事業主管轄労働局に一本化されます。ただし、厚生労働省の業務取扱要領によれば、事業主管轄労働局は管轄以外の地域で派遣事業を実施する内容の申請を受けた場合、各事業所の事業所管轄労働局に対して申請書の写しと各事業所に関する書類を送付することとされています。
- 申請の単位
- 事業主単位(会社単位)
- 提出先
- 事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局
- 事業計画書
- 事業所ごとに作成します
- 許可手数料
- 12万円+5万5千円×(事業所数−1)
- 登録免許税
- 許可1件あたり9万円。事業所が増えても変わりません
四つ目と五つ目の違いに注目してください。許可手数料は事業所数によって増えますが、登録免許税は許可1件あたりなので増えません。許可は会社単位で受けるものだからです。
人材派遣の会社設立で事業所を複数計画している場合、この点は費用の見積もりに関わります。ただし、事業所を増やせば基準資産額と自己名義の現金・預金の要件が事業所数を乗じた額になるため、そちらの影響のほうがはるかに大きくなります。
人材派遣の会社設立では、この期間が資金計画に直結します。許可が下りるまで営業ができないため、その間の家賃・役員報酬・通信費が売上のないまま出ていくからです。
そして許可が下りて営業を始めても、派遣先との契約、派遣スタッフの就業、月末の締め、請求という順を踏むため、最初の入金までさらに1〜2か月かかります。会社設立の準備を始めてから最初の入金まで、5〜6か月を見ておくのが現実的です。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第1段階|事前相談

許可申請の流れは、事前相談から始まります。厚生労働省の資料も「申請を希望する場合、お早めに事業主管轄労働局にご相談ください」としています。
この相談は、会社設立の登記より前にできます。むしろ、登記より前に行くことをおすすめします。
理由は単純で、登記のあとに要件を満たさないと分かると、変更登記や増資といった手戻りが発生するからです。相談は無料で、やり直しの登記は有料です。
相談に持っていくとよいものを挙げます。
- 事業所の間取り図(面積が分かるもの)
- 資産の状況が分かる資料(既存法人なら直近の決算書、新設なら資本金の予定額)
- 定款の案(事業目的の文言が分かるもの)
- 派遣元責任者になる予定の人の職歴が分かるもの
- 事業計画の概要(どの業種に、何人を派遣する予定か)
これらを持っていけば、要件を満たせるかどうかについて具体的な話ができます。とくに事業目的の文言と、事業所の面積は、この段階で確かめておく価値があります。
相談で確かめておきたいのは、資産要件を満たせるか、事業所が要件に合うか、事業目的の文言で問題ないか、派遣元責任者になる予定の人が経験の要件を満たすか、の四つです。この四つは、会社設立の登記の前に決まってしまうものばかりです。
逆に言えば、この四つを先に片づけておけば、あとは書類を順に出していく作業になります。人材派遣の会社設立で「急がば回れ」と言われるのは、この構造のためです。
出典都道府県労働局(需給調整事業担当)所在地一覧 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第2段階|会社設立の登記と、書類の準備

事前相談で見通しが立ったら、会社設立の登記に進みます。そして登記の待ち時間に、許可申請の書類を準備します。
許可申請の添付書類には、定款と登記事項証明書が含まれます。つまり、登記が完了していなければ申請できません。この順番は動かせません。
一方で、自分で作る書類は登記を待たずに着手できます。就業規則、個人情報適正管理規程、教育訓練計画、そしてキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引等です。

この図で大事なのは、二番目と三番目です。派遣元責任者講習は日程が埋まることがあり、自作の書類は中身を考える時間が必要です。どちらも登記を待たずに始められます。
人材派遣の会社設立で全体の期間を縮めたいなら、ここを前倒しすることがいちばん効きます。審査の期間は自分では短縮できないからです。
あわせて、会社設立の登記が完了すると保険と税務の手続きも始まります。年金事務所への健康保険・厚生年金保険の新規適用届、税務署・都道府県税事務所・市区町村への法人設立届出書、青色申告の承認申請書といった手続きです。
これらは許可申請とは別の手続きですが、会社設立の直後に一度に来ます。許可申請の準備と並行して進めることになるため、誰がどれを担当するのかを先に決めておいてください。
出典商業・法人登記の申請手続 (法務局/2026年8月27日確認)
第3段階|申請書類の提出

書類がそろったら、事業主管轄労働局に提出します。部数に決まりがあるので注意してください。
| 書類 | 部数 |
|---|---|
| 労働者派遣事業許可申請書(様式第1号) | 3通(正本1通、写し2通) |
| 労働者派遣事業計画書(様式第3号、第3号-2、第3号-3) | 3通(正本1通、写し2通) |
| 添付書類 | 2通(正本1通、写し1通) |
様式第3号-3は、派遣労働者のうち雇用保険または健康保険・厚生年金保険の未加入者がいる場合にのみ提出するものとされています。
そして手数料です。許可手数料として12万円+5万5千円×(事業所数−1)に相当する額の収入印紙を貼付し、登録免許税として許可1件あたり9万円を納付します。
登録免許税は、国税の収納機関である日本銀行、日本銀行歳入代理店(銀行等や郵便局)などに納付し、領収書を許可申請書に貼付します。
収入印紙の消印後は、手数料は返却されません。書類がそろってから貼付してください。労働局によっては、貼付せずに持参するよう案内していることもあります。事前に確かめておいてください。
提出の際には、書類の内容について質問を受けることがあります。事業計画の中身、事業所の状況、派遣元責任者の経歴といった点です。会社設立をした本人が出向くのがいちばん確実ですが、社会保険労務士に提出を代行してもらうこともできます。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第4段階|審査と、事業所の実地確認

申請が受理されると審査に入ります。書類の審査に加えて、事業所の実地確認が行われます。
実地確認で見られるのは、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あること、その位置・設備等からみて労働者派遣事業を行うのに適切であること、風俗営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないことなどです。
この面積には、派遣元責任者が仕事をする場所だけでなく、派遣スタッフと面談やキャリアコンサルティングを行うための、個人的な秘密を保持できる場所の分が含まれます。
あわせて、個人情報の管理に関する措置も見られます。取り扱う職員以外の者によるアクセスを防止するための措置として、施錠できる保管場所が求められることがあります。

そのうえで、労働政策審議会への諮問を経て許可が決定されます。この一連の流れに2〜3か月かかります。
出典労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 適正な運営の確保に関する措置に係る手続 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
第5段階|許可証の交付と、そのときの講習

審査を経て許可が下りると、許可証が交付されます。ここではじめて、人材派遣の営業ができるようになります。
厚生労働省の業務取扱要領によれば、事業主管轄労働局は許可証を交付する際に、当該事業主に対して次の内容により適正な労働者派遣事業の運営に係る講習を実施することとされています。
- 労働者派遣事業制度の適正な運営について
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分について
- その他労働者派遣事業の適正な運営の確保を図るために必要な事項
二つ目に注目してください。派遣と請負の区分について、許可証の交付の時点で説明が行われます。それだけ間違いが起きやすい論点だということです。
労働者派遣と請負の区分は、契約の名称ではなく実態で判断されます。昭和61年労働省告示第37号として「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」が定められています。
許可証を受け取ったら、事業所ごとに備え付けることになります。あわせて、許可番号を求人や情報提供の場面で使うことになります。
そして、許可を受けたあとには義務が続きます。キャリアアップに資する教育訓練の実施、キャリアコンサルティングの相談窓口の設置、マージン率などの情報提供、事業報告書の提出、派遣スタッフの社会保険・労働保険への加入。いずれも許可の基準や法令上の義務に関わるものです。
人材派遣の会社設立を考えるとき、許可を取ることがゴールに見えます。ただ制度の側から見れば、許可は事業を始めるための入口です。この義務は、事業を続けるかぎり続きます。
出典労働者派遣事業関係業務取扱要領 第3 適正な運営の確保に関する措置に係る手続 (厚生労働省/2026年8月27日確認)
会社設立の登記との関係を、もう一度整理する

労働者派遣事業の許可申請と、会社設立の登記の関係をもう一度整理します。
順番は決まっています。会社設立の登記が先で、許可申請が後です。許可申請の添付書類に定款と登記事項証明書が含まれるからです。

この図でいちばん上に事前相談を置いたのは、それが登記より前にできるからです。多くの方が、登記を済ませてから相談に行きます。
ところが、要件を満たせるかどうかは登記より前に確かめられます。事業所の間取り図と資産の状況、そして定款の案があれば、具体的な話ができます。
人材派遣の会社設立で手戻りを減らすいちばんの方法は、この順番を守ることです。相談は無料で、変更登記は有料です。
既存の法人で人材派遣に参入する場合も、事業目的の追加という変更登記が必要になることがあります。この場合も、登記が完了してから許可申請という順番は同じです。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
まとめ|許可申請の流れ

労働者派遣事業の許可申請の流れを、まとめます。
- 申請は会社単位。 事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局へ提出します。
- 事前相談は登記より前にできる。 事業所の間取り図と資産の状況を持って行きます。
- 登記の待ち時間に書類を準備する。 講習と自作の書類は、登記を待たずに始められます。
- 申請書類には部数の決まりがある。 申請書と計画書は3通、添付書類は2通。
- 手数料は収入印紙12万円と登録免許税9万円。 事業所1か所の場合です。
- 審査には事業所の実地確認が含まれる。 面積、独立性、面談できる場所。
- 許可証の交付時に講習がある。 派遣と請負の区分についても説明されます。
この流れのなかで、自分の努力で短縮できるのは前半だけです。審査の期間は行政の側の話なので動かせません。前半を丁寧かつ早く進めることが、全体の期間を縮める方法になります。
この記事の内容は2026年8月27日時点で、厚生労働省の公表資料により確認したものです。制度は改正されます。許可の可否と申請の手続きについては所管の都道府県労働局へ、申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へ、登記は司法書士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、労働者派遣事業の許可申請の代行や個別の税務相談ではありません。
出典申請・届出等の手続(労働者派遣事業を適正に実施するために) (厚生労働省/2026年8月27日確認)
事前相談は、登記より前にできます
都道府県労働局の需給調整事業担当部門は、許可申請の相談を受け付けています。会社設立の登記より前に、事業所の間取り図と資産の状況を持って相談に行けます。
書類がそろってから相談するより、要件を満たせるかどうかの段階で相談するほうが、手戻りが減ります。相談は無料で、やり直しの登記は有料です。
許可の可否は所管の都道府県労働局が判断します。申請書類の作成・提出代行は社会保険労務士へご相談ください。当サイトは一般的な制度の解説であり、許可申請の代行ではありません。
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